豪Lynas社 マレーシアでの分離重希土類(Dy、Tb)の生産計画発表 2025年開始予定
豪レアアース大手Lynas Rare Earths社は6月27日、同社のマレージア事業Lynas Malaysiaが、2025暦年中にジスプロシウム(Dy)とテルビウム(Tb)の分離重希土類(HRE)製品の最初の生産を行うことを目標としているとの声明を発表した。この生産は、Lynas社の既存の軽希土類製品群を補完するものになると考えられている。
現在豪州のMt Weld鉱体から産出される同社のジスプロシウム、テルビウムおよびその他の重希土類(HRE)酸化物は、SEGHとして知られる混合重希土類(HRE)化合物として販売されているとのこと。声明には、Lynas Malaysiaでの分離されたジスプロシウムとテルビウムの生産は新しいプロセスにより可能になると述べられており、具体的には、マレーシアのKuantan工場の溶媒抽出回路のひとつを、年間最大1,500トンのSEGHを分離できるよう再構成するのだという。この試運転と操業開始が2025年半ば予定。
なお、声明によれば、SEGH化合物からジスプロシウムとテルビウムを分離することにより、Lynas社の重希土類(HRE)製品の種類は以下の5つに増加するとのこと。
・ジスプロシウム
・テルビウム
・未分離サマリウム/ユーロピウム/ガドリニウム
・ホルミウム精鉱
・未分離SEGH
同社のCEO兼マネージング・ディレクターのAmanda Lacaze氏は、Mt Weld鉱床は軽希土類鉱物だけでなく重希土類鉱物も豊富に含んでいる点が注目に値するとしたうえで、「マレーシア施設での重希土類の初めての分離は当社にとって刺激的な発展であり、幅広い重希土類製品群を提供するための第一歩です」とコメントしている。
また、同社は米国テキサス州でもレアアース処理施設を計画しているが、こちらは建設前活動が進行中とのこと。Lacaze氏がマレーシアKuantan工場との比較として6月27日の豪ファイナンシャル・レヴュー(AFR)紙に語ったところによれば、テキサスの工場はより大規模かつグリーンフィールドであることから完成までに時間を要するのだといい、マレーシア工場ではテキサス工場よりも遥かに早くジスプロシウムとテルビウムの生産を開始することができるのだそう。
(IRUNIVERSE A.C.)
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