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岡本工作機械製作所(6125) 24/3期決算説明会WEB取材メモ ポジティブ継続

24/3期10.3%増収9.6%営利増で連続最高益も受注減で今期10.4%減収41.3%営利減予想

株価4610円(7/9)  時価総額309億円    発行済株6703千株 

PER25/3期DO予(10.7X)PBR(1.01X)配当(25/3DO予)190円  配当利回り4.1%

 

要約

・24/3期10.3%増収9.6%営利増で2期連続収益最高、中計1年前倒し達成も受注35.2%減

・25/3期10.4%減収41.3%営利減予想と前期受注低迷影響で上期大幅低迷響き回復は下期に

・三井物産資本参加で半導体注力し新中計で28/3期売上高690億円、営利110億円目指す

 

24/3期10.3%増収9.6%営利増で2期連続収益最高、中計1年前倒し達成も受注35.2%減

 

 平面研削盤でシェア5割、またシリコン半導体ウエハ加工用装置も手掛けファイナルポリシャでは世界7割シェアを誇る。 6/17に24/3期決算説明会が開催されたが、三井物産との業務提携もあり7/8にWEB取材を行った。

 

 24/3期は売上高501.98億円(期初計画比1.98億円増額、10.3%増)、営業利益61.33億円(同1.33億円増額、9.6%増)、経常利益62.84億円(同3.34億円増額、13.2%増)、税引利益45.56億円(同3.56億円増額、13.1%増)と、期初計画を若干上振れ着地し、2期連続最高収益更新となった。また同社中計計画である25/3期売上高500億円、営業利益60億円目標を1年前倒しで達成することとなった。但し受注が327.25億円(35.2%減)と急減、受注残も391.08億円(30.9%減)と受注は低迷している。

 

 事業別では工作機械事業が売上高316.04億円(期初計画比27.96億円未達、1.0%増)、営利20.25億円(26.3%減)、受注269.29億円(同46.71億円未達、17.4%減)、受注残140.21億円(同18.76億円未達、25.0%減)、営業利益20.25億円(26.3%減)と低迷した。売上の内訳は工作機械装置が205.67億円(14.6%増)と国内は半導体製造装置などに利用されるセラミックス業界向けにロータリー平面研削盤や大型平面研削盤が好調に推移、一方で海外は欧州向けがEV関連で底堅く推移したものの、米国向けが金利上昇影響などで低迷、全体で減収に。岡本工機の事業である精密歯車は売上高60.36億円(20.1%減)と低迷した。これは主要ユーザーのファナックのロボット生産が計画を大幅に下回ったことで在庫調整から社内計画比大幅減となったとのこと。鋳物も売上高24.52億円(31.7%減)と北米、アジア向けが全体的に不振で社内計画比大幅減に止まったとのこと。部品・サービスは25.32億円(14.8%増)と工作機械売上増に伴い売上増に。一方、受注の内訳では工作機械が191億円(16.6%減)。産業分類では半導体セラミックス加工向け、EV含む自動車向けなどが35~40%弱の減少と、受注反動減などで業界平均14.8%減を若干上回る減少率となり低迷した。但し同社の大半を占める平面研削盤の工業会受注33.5%減と比較すると乖離があり、平面研削盤において市場低迷の中でシェアがアップしたとみられる。歯車の受注は53億円(23%減)、内訳は国内38億円(24%減)、海外15億円(21%減)と、国内ではロボット向け、海外も中国向けで市況悪化から受注が低迷した。本来は岡本工機の新工場寄与でロボット向けの拡大、特にファナックの協働ロボット向けなどやEV向けの採用増を見込んでいたものの、結果として受注予想減額の主因に。また自動車向けではダイハツ向けが2月まで生産停止となった影響などもあり、自動車向けも低迷した。鋳物についても売上高24億円(11%減)と北米、アジア向けいずれも減少。工作機械事業受注全体としては歯車の大幅未達、鋳物の減額、工作機械も23/3期の大型受注の反動減が影響し、計画未達成だった模様で、全体として2ケタ減少に。なお受注残高は依然高水準を確保、製品によっては納期1年超の製品もある。

 

 利益面では売上高未達影響に加え、全般に原材料高が影響、鋳物、歯車は減収影響で大幅利益減などから大幅減益に。なお四半期ではQ1に営業赤字となっているがQ2以降は黒字、Q4はQ3からの期ずれや期末影響もあり大幅増となっている。なお工作機械については限界利益率に大きな変化はないとのこと。但し鋳物、歯車は売上が底這い状況で稼働率が上がらず低調な収益が継続している模様。

 

 半導体関連事業は売上高185.94億円(期初計画比29.94億円30.8%増)、営利53.89億円(34.1%増)、受注57.96億円(期初計画比103.04億円減額、67.6%減)と収益はMIX良化で大幅増収増益、受注は大口受注がウエハ在庫について積みあがった状況で設備投資先延ばし影響から大きく減少した。売上高で地域別推移は国内が90.17億円(3.4倍)と300mmウエハグリーンフィールド(以下GF)投資向けが24/3Q2から本格化し大幅増に。海外はアジアが81.83億円程度(26.4%減)と約70%を占める中国向けの減退がQ2以降高まっている。受注についてはGFの次期投資案件が政府補助金750億円は決まっているものの市場環境を見て多少計画が延びる見通しの他、中国メーカーも在庫が高水準であり、新規投資の追加発注を控えた形となっている。現在受注残高は依然250.86億円(同期比33.8%減)と1年以上あり、最長の納期は2026年末となっており、GF比率は60%~70%を占めているとのこと。現状、新規GF向け受注成約について、長納期のために引合いは多いものの受注成約に結びついていない。なお全体の売上の中でファイナルポリシャ(以下FP)の構成比は88%、受注では77%となっており、引き続きFPのウエイトが高い状況に変化はないとのこと。またFPは300mmウエハ対応で、200mmウエハではほとんど使われないとのこと。このためその他の半導体関連はグラインダ、ポリシングマシンが中心となっており、一部で化合物半導体向けグラインダの出荷が中国向けに始まっている。

 

25/3期10.4%減収41.3%営利減予想と前期受注低迷影響で上期大幅低迷響き回復は下期に

 

 25/3期会社予想は売上高450億円(10.4%減)、営利36億円(41.3%減)、経常利益36.億円(42.7%減)、税引利益36億円(42.7%減)となり、24/3期に中計計画を前倒し達成したものの、24/3期の受注低迷で大幅減益予想とした。

 

 6/17の決算説明会で、部門別売上、営業利益予想の開示がなされたが、受注予想の開示は無かった。部門別売上、営利予想は工作機械事業が売上高316億円(0%増)、営利13億円推定(共通費調整後、3%減)、調整前営利20億円推定(1%減)、半導体関連事業が売上高134億円(28%減)、営利23億円(共通費調整後、52%減)、調整前営利で29億円推定(46%減)予想となっている。工作機械事業の内訳開示はないが、工作機械受注が工業会予測でほぼ横ばい予想で、歯車、鋳物とも回復が鈍いため、サブセクターとしても横ばい予想のイメージ。半導体関連が売上高134億円(27.9%減)予想は受注残高が豊富にあるものの、GF投資の売上寄与は25/3期~26/3期にまたがるため、今期受注、今期売上計上の短納期の製品が少ない見通しから減収減益予想としたとみられる。

 

 取材により25/3期受注は総額で350億円程度と想定、内訳は工作機械事業が270億円(横ばい)、半導体関連が80億円(38%増)のイメージとのこと。現状、工作機械術受注については工業会実績で5月、6月と2カ月連続で前年同月比増となっている。今後、半導体製造装置の設備増強などの動きが強まる見通しから、ロータリー研削盤や大型平面研削盤の受注増加が見込まれ、工作機械受注がプイラスで推移し、納期も期中受注、期中売上が可能で、会社計画を上回る収益が期待される。歯車についても在庫調整の一巡で緩やかな増収がみこまれ、鋳物については横ばい確保が可能とみられる。半導体関連装置事業受注については、300mmウエハの在庫がピークを付けた見通しで、SUMCOなど24/12Q1収益が計画を上回っており、今後、先端半導体向けの微細化に対し、より高精度な研磨の必要性から既存設備での追加需要が見込まれる。加えてGF投資についてもAI半導体需要の拡大でウエハ需要面積が大きく拡大する見通しにあり、早晩新規投資が実行されよう。さらに中国においてはローカルウエハメーカーの設備増強が継続しており、こちらはFPに加え、グラインダ需要も拡大が見込める。全体を通じ、今期は下期に増額が見込まれ、全体として収益の上方修正が期待される。

 

三井物産資本参加で半導体注力し新中計で28/3期売上高690億円、営利110億円目指す

 

 同社は5/22に三井物産との間で資本業務提携を行い、第三者割当増資198.59万株(議決権比率30%)の実施を決議した。この提携により著しい成長が見込まれる次世代半導体市場の成長を捉え、グループの企業価値を一層高めていくためには競合他社に対し優位性のある製品開発を行い、ショールームなどの拡充、さらには新規設備投資も多額の資金投入が必要となるなどを考慮し、外部パートナーとウインウインの関係を築くとした。今回の調達資金98億円は技術開発等、次世代機開発、自動倉庫建設、大和工機の半導体関連の生産性向上に向けた投資を計画しており、25/3期は前期実績の29.82億円に対し、まずは大和工機の設備増強で8億円を実施、25/3期は前期を上回る設備投資を実行する予定とのこと(詳細はこれから)。

 

 今回、新中計数値目標として28/3期に売上高690億円、営業利益110億円、配当性向45%を目標とした。また事業別では半導体関連事業について売上高270億円(25/3期予想比2.0倍)、工作機械関連420億円(同33%増)と、中心となるのは半導体関連事業となっている。この新中計は、従来当期計画として「ビジョン2030」で目標としていた31/3期に売上高700億円、営業利益115億円目標をほぼ3期前倒しで達成する意欲的な中期経営計画となっている。

 

 半導体事業についてはSiC向けFPのシェア維持、次世代機の新規開発、具体的にはSICウエハ加工プロセスの高度化、化合物パワー半導体(SIC、GAN等)対応機の拡充、通信SAWデバイス向け(LT/LN:タンタル酸リチウム/ニオブ酸リチウム)難削材ウエハ対応のポリシャ、グラインダの開発、技術開発等の新設とショールーム刷新、売上高300億円を支える生産体制の構築を行う計画。売上高270億円目標に対し、共通費控除後営業利益で61億円を目指す予想。売上増の内訳は次世代材料向けが100億円増、シリコンウエハ向けはシェア維持を見込むとしている。特にパワー半導体向けのポリシャ需要は27/3期に伸長が見込まれ、グラインダ需要も同様の需要が期待される。実際はAIサーバー需需要などの急拡大で先端デバイス向けの微細化のための追加投資、加えて受注では新たにGF投資が具体化するとみられ、半導体関連売上は上振れが期待される。

 

 また同社はSi貫通電極ウエハの超平坦・金属汚染フリー・薄膜化加工のための研削技術も実用化(2024年7月までJSTが延長支援)の成果発表を控えている。信頼性の非常に高い3次元集積回路を低コストで実現するには、複数のSi貫通電極ウエハを超平坦・金属汚染フリー・薄化加工し、それらを全面貼りあわせ・積層する必要がある。同社はシーズ顕在化プログラムで得られた成果をもとに、量産化装置として製品化を進め、Si貫通電極ウエハの長さばらつき (厚みばらつき)のさらなる低減、Si貫通電極露出プロセスを低コスト且つ高歩留りに実現できる全自動Si貫通電極ウエハ薄化加工装置を試作してきた。現状、着実に成果が出ているとのことで、今後、半導体後工程での3次元対応の新規装置の投入も期待される。さらに後工程での異種材料同時研削可能な装置開発も行っており、半導体後工程での製造装置分野が加われば、更なる事業拡大が期待される。

 

 工作機械事業では研削盤についてEV関連でリチウムイオン電池製造装置向けの長尺超精密平面加工向けやモーターコア製造用連装金型向けの超精密平面加工向けに大型超精密門形平面研削盤などがさらに拡大見通し。半導体製造装置・電子部品製造装置向けではセラミックス等の難作材加工向けに精密ロータリー研削盤の更なる拡大も見込める。なお汎用研削盤においては中国で研削盤のNC化要求が高まっており、現地での生産を含めNC平面研削盤の売上拡大も期待される。今回、中国での工作機械の設置NC化率75%目標で古い機械の廃棄を求めた動きが出ており、研削盤については特に中国でNC化が遅れている機種とみられるだけに中国向け汎用NC平面研削盤も思わぬ拡大があり得る。中小型平面研削盤はタイで生産されており、生産能力が月産100台、現在は月産70台の生産に止まっており、中国向けの伸長が期待される。工作機械事業で今後伸びが期待出来るのが岡本工機の歯車事業。広島県府中市の府中第2工場が昨年7月より生産を開始、月産15万個の生産能力が加わり、25/3期に歯車生産能力が約3割増となった。このため歯車だけで売上100億円超の生産能力を持つ。産業用ロボットでは世界的な省人化ニーズからロボット需要の拡大が見込まれ、岡本工機は世界NO1のファナックを主力ユーザーとしているだけに、25/3期後半からの再拡大が期待される。また従来機種に加え、いわゆる協働ロボットの普及が加速するともいわれているが、同社はファナックCRシリーズ向けに関節部分の変減速向けにも納入、今後、ハーモニックドライブ向けに非ファナック向けでも拡大が期待される。また岡本工機は自動車向け歯車比率が低かったが、EV化により歯車の静音化ニーズが高まっており、岡本工機の精密歯車へのニーズが高まる可能性がある。既に日系2社に納入実績を持つが、今後、HEV、PHEVを含め次世代自動車向けも加われば更なる売上拡大があり得る。このように平面研削盤を中心に工作機械も業界平均を上回る伸びが見込まれ、加えて歯車ビジネスが拡大する中で、工作機械事業全体も中計計画の達成は十分可能とみられる。

 

 全体として26/3期には半導体生産が過去最高を更新する中で半導体関連事業が過去最高を更新するとみられる。また工作機械事業も半導体製造装置向けロータリー研削盤、EV用2次電池製造向け、次世代自動車モーターコア金型向け超精密門型平面研削盤などの拡大、歯車事業の再拡大が見込まれ、28/3期中計予想は十分達成可能とみられ、三井物産との協業により、上振れ達成の可能性も十分にある。

 

 同社株価は先端半導体関連で上昇し3/7には21年9月高値7200円に迫る6860円と年初来高値を更新したものの、5/14の決算発表で25/3期大幅減益予想が開示され大幅に下落、さらに5/22の三井物産への第三社割り当て増資で株式の希釈化、またPBR1以下での割り当てなどの批判も受けてさらに株価が下落、6/25には4445円の年初来安値更新となり、現在も安値圏にある。現在、希釈後25/3期会社予想EPS373円に対しPER12.4倍は東証スタンダード機械平均PER11.7倍に対し若干割高となっている。但し25/3期下期増額が期待され、26/3期は再度最高益更新が見込まれ、悪材料を織り込み、三井物産の参画でIR活動の進展など、先進的な技術材料の開示情報も増えるとみられ、改めて先端半導体関連銘柄として評価が高まると判断、ポジティブ継続としたい。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

 

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