米電池リサイクルのプリンストン・ニューエナジー、特許強みに快進撃 新工場着工
米国のバッテリーリサイクル業界が活気づいている。プリンストン大学発のスタートアップであるプリンストン・ニューエナジー(Princeton NuEnergy<PNE)は6月20日、サウスカロライナ州でリチウムイオン電池のリサイクル工場を着工した。同社は5月半ばに大口の資金調達に成功したばかり。特許技術を強みとした事業展開が注目を集めている。
■資金調達に困らず快進撃
PR ニュースワイヤーが同社発表として伝えたところによると、新工場の生産量はバッテリーグレードの正極材1万tpa超。これは電気自動車(EV)用バッテリーを年間10万個以上生産することが可能な量だ。同社によれば、商業規模のリチウムイオン電池の「ダイレクトリサイクル」工場は米国でも初めて。
同社は5月半ばに台湾の緯創資絶達(ウィストロン)が主導するシードラウンドで1000万ドル(約13億円)を調達したと発表していた。PRニュースワイヤーなどによれば、これにより、同社の過去6か月間の資金調達額は2600万ドル程度に達した。同社は本田技研や韓国サムスン系列などを含むコンソシーアムや、米政府などからも助成金や支援金も別に2500万ドル程度調達しており、人気ぶりが際立つ。
■特許技術「ダイレクトリサイクル」
PNEはプリンストン大学の研究をもとに2019年に創業した。バッテリーを元のOEMと同等の正極に直接リサイクルするダイレクトリサイクル技術で特許を有する。低温プラズマアシスト分離プロセス(LPAS)を使用することにより、すべてのリチウムイオン電池の化学的性質に含まれるリチウムイオン材料の95%以上を回収できる。同社のシステムは、従来の方法に比べ費用対効果が高く環境に優しいとされ、リサイクル業界から画期的だと注目された。
(IR Universe Kure)
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