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タカノ(7885) 24/3期WEB取材メモ ややポジティブからニュートラルへ変更

24/3期9.3%増収11.9%営利減と材料高で減額着地、25/3期も半導体向け低調影響し不振

株価924円(7/12) 時価総額145億円    発行済株15,721千株      

PER(25/3DO予:25.6X)PBR(0.45X) 配当20.00円   配当利回り:2.2%

要約

・24/3期9.3%増収11.9%営利減と材料高で減額着地、受注2.7%減と検査装置大幅減響く

・25/3期半導体向け下期回復も円安で住生活部門原価高から4.7%減収52.3%営利減予想

・26/3期は半導体向けがレガシー向けに加え先端半導体向け拡大で収益急回復期待

 

24/3期9.3%増収11.9%営利減と材料高で減額着地、受注2.7%減と検査装置大幅減響く

 

 事務用椅子のコクヨ向けOEMのオフィス家具と、液晶・半導体製造用画像検査装置を主体とする検査計測機器事業が2本柱。24/3期は売上高251.73億円(計画比7.27億円未達、9.3%増)、営業利益8.80億円(同3.70億円未達、11.9%減)、経常利益10.23億円(同3.77億円未達、7.2%減)、税引利益6.01億円(同3.99億円未達、27.5%減)、受注高228.55億円(2.7%減)、受注残70.26億円(24.8%減)と利益が大幅未達で終わった。

 

 部門別では検査計測機器が売上高75.20億円(15.7%増)ながら営利2.66億円(50.8%減)、受注47.74億円(32.3%減)、受注残54.25億円(33.6%減)となった。同社が強みを持つレガシー半導体向け検査装置が半導体生産の不振で低迷、売上は受注残高の消化で増収確保も収益性の悪い案件の売上計上で利益が低迷した。単独での検査装置の売上推移では全体で68.80億円 (17.2%増)となった。内訳は半導体向けが27.25億円(会社計画比2.57億円未達、10.2%増)となった。基本的にレガシー半導体向け検査が中心となるWM-7S(200mm対応ウエハ表面パーティクル検査装置)中心に受注が25%程度落ち込み22.5億円程度にとどまったことで、受注残高があって売上は増加を確保したものの、大幅な未達に。FPD検査装置は売上高23.32億円(同2.77億円未達、64.7%増)も過年度分の収益性の低い中国向け売上が増加。フィルム検査装置は17.32億円(同0.57億円未達、7.9%減)と2次電池向けセパレータ検査装置がEVの伸び悩みなどで低調に推移した。単独の検査装置営業利益では中国大口FPD検査装置の影響、一部在庫評価引き下げもあり、1.80億円(58.2%減)と低迷した。

 

 住生活環境関連は売上高119.80億円(4.7%増)ながら営業損失0.47億円(0.98億円改善も、赤字継続)に止まった。オフィス家具全般に回復傾向がみられ増収となったが、WEB会議需要で好調だった個室空間製品は一服した。なお主力のコクヨ向けOEMは95.70億円(6.8%増)となった。利益面では円安による輸入原材料高の影響が大きく、固定費増なども影響、一部値上げ実施もカバーできず。さらに新規事業である臨床検査薬事業の初期赤字もあり、黒字転換できずに終わった。

 

 産業機器は売上高32.47億円(10.4%増)、営利5.77億円(14.3%増)、受注32.12億円(8.3%増)に。半導体製造に使われるマスフロコントローラー向け電磁アクチュエータの拡大が寄与、増収効果で2ケタ増益となり、売上規模は小さいながら検査計測を抜き、同社営利最大部門となった。

 

 全体を通じ、部材調達による輸入原材料高、検査装置の計画未達、MIX悪化もあり低調な収益推移に止まった。

 

 

25/3期半導体向け下期回復も円安で住生活部門原価高から4.7%減収52.3%営利減予想

 

 25/3期会社予想は売上高240億円(4.7%減)、営業利益4.20億円(52.3%減)、経常利益5.5億円(46.3%減)、税引利益5.5億円(8.5%減)予想と収益低迷継続見通し。

 

 セグメント予想の開示は無いが、単独での半導体検査装置の売上高は61.73億円(10.3%減)としており、連結では72.0億円(4%減)のイメージとなる。検査計測の仕向け先としては半導体向け31億円(14%増)、FPD向け17億円(27%減)、フィルム向け13億円(25%減)、その他1億円予想。FPDについて採算の悪い案件計上が続き利益の足を引っ張るとのことで、MIX良化も利益減となる模様。検査計測以外の合計では168億円(5%減)と想定される。前期好調だった産業機器向けが半導体向けで回復が遅れ減収予想とのことで、同部門も営利減が懸念される。住生活、エクステリア等も円安影響が継続、減益赤字継続見通しとのこと。

 

 全体として半導体検査向けが下期には回復、FPD不採算一巡もあり、下期収益回復が見込まれる。但し受注回復も売上寄与が26/3期とみられ会社想定の収益に止まると見られる。

 

26/3期は半導体向けがレガシー向けに加え先端半導体向け拡大で収益急回復期待

 

 

 半導体向けは中心となるWMシリーズが23/3期まで牽引、収益性もアップしていた。しかし24/3期に入り、国内向けでWM-7シリーズの普及一巡感が出て低迷、加えて期待していた海外向けもレガシー半導体の停滞から伸び悩み、24/3期受注が25%減となり、25/3期売上も停滞が見込まれる。具体的にWMシリーズは23/3期に半導体向けの約3/4を占めたとみられるが、24/3期に80%まで構成比がアップする見通しが大きく外れている。従来は国内中心で、22/3期国内が88%、23/3期65%が国内向け、24/3期は50%まで下落、国内ではほぼ寡占状況で、普及一巡で内需の低迷が続くとしている。海外は欧米向けに期待しており、欧米向けにWM-7SR(欧米安全規格仕様)を投入、現在海外で圧倒的なシェアを持つKLAテンコール社の200mm以下の検査装置(新製品開発はやめている)は500台程度稼働しているとみられ、年間50台の代替市場を見込む。またパワー半導体が成長していることもあり、米国チップス法による補助金が車載半導体向けにも適応されるなどもあり、年間30台程度の需要取り込みが可能とみられる。一方、アジア向けは台湾タカノが扱っているが、レガシー半導体の伸び悩み、中国は欧米からのKLA中古機の流入、ローカルメーカー採用の動きが高まり、売上が減少している。今後、台湾向けの回復は期待されるものの、中国については検査の高機能化ニーズの高まりなどに期待するイメージ。国内はパワー半導体の設備増強により改めて新規受注の拡大が見込める。

 

 

 今後、期待が膨らむ市場として、先端パッケージを中心とするALTAX(高速バンプ高さ検査装置)、ThinSpector(全面膜厚ムラ検査装置)の投入がある。特にALTAXは半導体チップの微細化に伴い、2.5D、3Dパッケージ基板対応に向けたもので、マイクロバンプの全数検査が可能。インテルのEMIB対応などで既に受注成約がある。同装置の3次元検査装置のライバル企業としては国内で東光高岳、グローバルではイスラエルのCAMTEK社がある。バンプ高さ3次元検査は光切断方式と共焦点方式の2方式があり、それぞれ異なる原理で高精度な3D形状測定を実現する代表的な手法となっているが、同社とCAMTEK(Falconシリーズ一部共焦点のDragonflyシリーズもある)は光切断方式、東光高岳は共焦点方式を採用している。光切断方式は三角測量法を利用したものであり、特徴は、ライン状レーザー照射を用い、バンプ列に垂直方向のライン状レーザーを照射、照射されたレーザーがバンプ表面で反射し、その反射光をカメラで取得し反射光の強度分布を解析し、バンプ個々の高さ情報を得る。共焦点方式に対し2~3倍以上の高速で検査でき、しかも広範囲の3D形状測定が可能で、構造もシンプルなために比較的安価な価格で提供できる。一方の共焦点方式はレーザー光を真上から一点に集光させ、バンプ表面を走査し、照射されたレーザーがバンプ表面で反射し、その反射光についてピンホールを通して検出する。レーザー光の強度変化でバンプ個々の高さ情報を得る方式。光切断方式に比べて高精度な3D形状測定が可能で、ピンホールにより不要な光を遮断するため、高コントラストな画像を得られるほか、段差構造のあるバンプ測定にも対応可能。但し光切断方式に比べて測定速度が遅く、測定視野が狭いため、広範囲の検査には複数回の走査が必要で、光学系が複雑なために高価な装置となっている。現在、先端半導体パッケージについて3D化、バンプの小径化、多数個化、さらにはAIサーバなどで利用される基板がサイズの拡大化が進んでいる。このような中で、検査のスピードアップ、大面積対応で光切断方式へのニーズが高まっており、国内において先端パッケージメーカー向けなどで受注を獲得し、同分野で日系向け大手の東光高岳の売上が減速している中でシェアが高まりつつある。またCAMTEK(半導体向け計測に特化し売上高2.7億ドル程度)に対してはカメラセンサについて新開発の超高速CMOSセンサ(1秒間に約7400万ポイントの3Dデータの取得が可能)カメラを開発、CAMTEKに対し差別化ができているとのこと。現在、生産台数は1ケタ(1台7000万円程度)とみられ、本格量産には至っていないものの、能力的には年間20~30台を目指せるだけの能力はあるとのこと。今後、さらに注目されるのは、ハイエンドデバイスにおいてガラスインターポーザの採用が進む可能性があること。同社はもともとLCD検査装置大手であり、半導体メーカーが有していないガラス基板に対する検査ノウハウの蓄積がある。しかも基板の大型化に対してもカラス搬送のノウハウもあるため、半導体メーカーからの開発依頼も増えているとのこと。なおこのほかではThinSpectorという機種も拡大期待がある。同装置はウエハ全面の膜厚計測と膜厚ムラの検出を同時に行える検査装置。従来は別々に検査していたが、FPD検査装置で培ったノウハウを生かし、1スキャンで全数・全面検査を可能とした。24/3期に販売開始しており、ウエハの薄化に必要不可欠な検査装置として、特にパワー半導体向けの需要拡大が期待される。このように、従来のWMシリーズで成長するシナリオに加え、先端パッケージでの検査需要が加わり、26/3期以降、再度半導体検査装置の収益上伸が期待される。このほか、昨年6月にはシリコンウエハ上にメッキを施すMEMSマイクロデバイスに関する革新的な表面処理技術を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門と共同開発した。半導体ウエハに微細パターンめっきが可能となる新表面処理技術。シリコンは難めっき材料でめっきパターンの微細化に限界があるが、シリコンウエハ表面上に特殊合金層を形成し、選択部分に正確にめっきする技術。この技術でシリコンの微小な立体構造物の側面めっきにより機械的強度を飛躍的に向上させられる。3次元デバイスでは更なる高密度化で高効率な電気信号伝達、高効率な熱伝導、機械的ストレス耐性を高めるなど、壁面メッキの重要性が増しており、中期的に同技術の応用も期待できよう。

 

 フィルム関連では2次電池向けのフィルム検査装置の拡大を期待していた。ラインセンサを用いた光学式検査装置Hawkeyesシリーズで、LiB向けでは集電箔、セパレータ、外装用ラミネートフィルム、電極などの欠陥、塗工長計測などで利用されてきた。しかしLiB分野は中国、米国が設備投資の中心で、検査装置の単価が半導体検査装置の1/3程度と低価格で、一部中国向けではキャンセルも生じた模様。このためフィルム検査装置についても半導体製造向けの各種フィルム、MLCC向けなどへシフトする。具体的にはMLCCでは小型・高性能化(0201:0.25 mm×0.125 mm× 0.125 mm)とともに積層数の増加(1000層を超える)や微細化ニーズに伴いセラミックグリーンシートフィルムなどで厚みが1μm以下のセラミックシートも開発され、均質性、異物検査などの必要性から検査ニーズが新たに生じており、高付加価値製品に注力する方向にある。

 

 

 産業機器関連では平均的に全体の50%程度を占めるとみられる電磁アクチュエータ事業が、半導体生産の回復でマスフロコントロール向け中心に精密流量制御などのニーズが再度高まる見通し。生産能力を1.5倍に拡大しており、こちらも26/3期には半導体生産の回復とともに再度売上拡大が見込める。また同事業ではゴムチューブを押し挟んで流路を開閉するバルブが液溜まりせず衛生的で、薬液等の制御に適し、医療機器用ソレノイドバルブとして成長が見込めるあんど、新たな分野での拡大も期待される。

 

 住生活関連は、東京23区を中心に大規模オフィス新規供給量(賃貸面積)が23~26年にかけて平均15.8万坪(過去10年は平均15.9万坪)と平均を若干下回る推移が見込まれるものの、大規模オフィス供給による新築移転需要が期待される。一方大阪は23~26年にかけ平均3.5万坪(過去10年平均1.9万坪)と、梅田・淀屋橋中心に大規模供給が見込まれ、全体として緩やかな拡大が見込まれる。利益面では円安の進行によるコスト増が懸念されるものの、価格是正も徐々に進むとみられ、26/3期は営業利益の黒字転換が見込まれる。

 

 同社は住生活関連の新規事業として、現業技術の半導体における高度な光学システム、画像システムなどシステム横断的な組み合わせと医療機関との連携によってバイオテクノロジーを融合し迅速アレルギー検査「SiLIS(サイリス)」を2023年11月1日より販売開始した。この製品は、食物系及び吸入系アレルゲン45項目の特異的IgE及び非特異的IgEの同時測定をすることを目的とした体外診断用医薬品。アレルゲンを固定した反応チップと反応溶液を充填した試薬カートリッジに微量検体(血清又は血漿40μL)を分注し、自動分析装置にセット後、15分で測定が完了するため、従来、4~5日を要し、90%以上を検査センターに送って検査していたものを、多項目検査について同時多項目(特異的IgE45項目+非特異的IgE)・迅速アレルギー検査で院内検査が可能となった。実際に特異的IgE45項目で消費者庁が表示義務項目として食品系で示した27項目全て、また表示推奨項目として吸入系、その他の18項目の内87%について測定が可能。その他では最近多発しているアニサキスの測定も可能。24/3期は先行費用から住生活関連事業の営業赤字の主要因の一つとなったものの、26/3期には収益寄与が期待され、中長期的には新たな柱となる可能性を秘めている。

 

 全体を通じ、26/3期はレガシー半導体検査装置の回復、先端デバイス検査装置の拡大、フィルム検査事業も半導体・電子部品向けの拡大による収益拡大、産業機器も半導体生産の拡大によるマスフロコントロール向け製品の収益拡大などが期待される。加えて住生活関連も緩やかなオフィス家具の拡大に加え迅速アレルギー検査の一時費用負担の軽減、事業の拡大なども見込まれ営業利益の黒字化が見込まれることから、収益の大幅回復が期待される。

 

 株価は半導体関連として4/12には2018年6月の1151円以来の1,135円と年初来高値を付けたものの、その後5/10に24/3期決算が減額着地となったこと、25/3期も大幅減益予想となったことで急落、7/10には858円の年初来安値となり、現在も反転が鈍い状況にある。25/3期会社予想EPS36.13円に対しPER25.6倍は東証スタンダードその他製品平均PER16.7倍、精密22.4倍、機械19.2倍に対し割高となっている。25/3期収益が半導体関連の回復がレガシー中心のため鈍く、収益が低迷見通しも、26/3期には半導体の回復、また先端半導体検査部門も拡大が期待される。このため現状割高感はあるものの、悪材料を織り込み、PBR0.45倍と下値不安は小さいと判断、これまで25/3期増益を見込みややポジティブとしていたが、一旦ニュートラルに判断を引き下げる。

 

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

 

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