2025年11月初めまでのバナジウム価格はさえない。最終製品である鉄鋼が世界的に減産基調で、添加剤としてのバナジウム需要も縮小傾向が鮮明だ。メーカーはコスト割れのリスクが高まり、生産意欲が落ちている。
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世界鉄鋼協会(WSA)が10月23日に発表した月次報告によると、同協会に加盟する世界70か国の2025年9月の粗鋼生産量(速報)は1億4180万トンで、前月比2.7%、前年同月比1.6%それぞれ減った。世界的な鉄鋼の減産に伴い、バナジウムの需要も縮小している。
■五酸化バナジウムの高値一時5%安、フェロバナジウムは小動き
過去3か月間の五酸化バナジウム価格の推移(V205 fob China)($/lb Vo205)

五酸化バナジウムは10月29日に仲値$47905/lbと、8月初旬以来ほぼ3か月ぶりの安値を付けた。9月上旬に$4.935に上げたのをピークに調整が続いている。高値では同日に$4.72と前日から5%も急落した。
Ferroalloy.netは10月31日までの週刊レポートで、「鉄鋼価格の下落や製鉄所の需要低迷で、バナジウム調達は取引が全体的に減っている」と指摘。「バナジウムメーカーは利益が出なくなっている。少しでも販売しようと交渉すると、さらに買いたたかれる始末だ」とし、メーカー側の生産意欲が落ちていると分析した。
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過去3か月間のフェロバナジウム価格の推移(V78%min US$/kg EU)($/kg)

鉄鋼向けのフェロバナジウムは小動きが続く。10月16日に仲値$23.575/kgを付けた。9月下旬以来の安値になるものの、9、10月の2か月間は$23台後半を中心に小幅な値動きが続いた。中長期では、2020年夏以来の安値水準にある。Ferroalloy.netは市況悪化を背景に、「注文を受けてから生産に踏み切るなど、生産に消極的なメーカーが増えている」とした。
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11月4日
インドの鉱山省は、同国西海岸のゴア州北部で重要鉱物の評価プログラム(CMAP)を開始した。同地のラテライト岩からバナジウムやスカンジウムが見つかったためという。Ferroalloy.netが11月4日に伝えた。
10月8日
出光興産(本社:東京・千代田)は10月8日、運営する豪鉱山の蓄電設備として2026年下期からバナジウムフロー蓄電池(VFB)を導入すると発表した。
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出光興産は9月に出資する豪企業のクイーンズランド州での事業のニュースが流れたばかり。同社は2024年12月に豪州へのバナジウム投資について発表していた。
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(IR Universe Kure)