鉱業界における再生可能エネルギーの利用促進を先導
出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:酒井則明)は、10月8日、豪州子会社の出光オーストラリア(Idemitsu Australia Pty Ltd、本社:ブリスベン)を通じて90%の権益を保有するボガブライ石炭鉱山(ニューサウスウェールズ州)において、2025年9月に太陽光発電設備の運転を開始したと発表した。さらに、蓄電設備として耐久性・安全性に優れ、環境にやさしいバナジウムフロー蓄電池(Vanadium Flow Battery、以下「VFB」)を導入(運転開始:2026年下期予定)。太陽光発電とVFBの導入により、その効果を実証し、鉱業界におけるエネルギー移行のモデルケースとなることを目指す。

豪州では、鉱山開発に伴う環境への影響を抑えるための対策が年々強化されており、温室効果ガス排出量削減に関する法規制の整備が進んでいる。このような状況の中、同社はボガブライ石炭鉱山において、敷地内に設置した太陽光パネルによる自家発電を開始。発電量は5MWで、ピーク時には鉱山内のインフラ設備や破砕機稼働などの電力需要をまかなえる規模だという。これにより、運転開始初年度は約5,000トンのCO2排出量削減を見込んでいる。
加えて、同鉱山内に豪州最大の蓄電容量となるVFBを他社に先駆けて導入。蓄電容量は12.6MWh・出力2MWで約6時間にわたり、太陽光発電同様に鉱山内の電力需要をまかなえる規模になる。昼間に発電した電力を蓄え、夜間にその電力を活用することで、夜間の化石燃料発電への依存を減らし、環境にやさしい鉱山運営を実現する。なお、VFBに使用されるバナジウム電解液は、出光デベラ(Idemitsu Debella Pty Ltd、同社出資100%の出光オーストラリア関係会社)が51%を出資するVecco(ヴェッコ)社(Vecco Group Pty Ltd、本社:ブリスベン)が製造・供給し、住友電気工業株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:井上治)がVFBを納入する予定。

■VFBの特長
・長寿命:電解液や電極の劣化が少ないため、容量低下も極めて少なく、長期運用が可能
(一般的に20年以上)。
・高い安全性:不燃性のバナジウム電解液と難燃性部材を使用し、火災リスクが低い。
・低環境負荷:電解液は再利用可能、機器材料の99%がリサイクル可能。
・低ライフサイクルコスト:セルや電解液の交換が不要、撤去時の廃棄物も少量。
(IR universe rr)