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オキサイド(6521)25/2Q1WEB決算説明会・株主総会メモ ややネガティブ継続

25/2期は下期から半導体向け供給正常化で29.5%増収、営利2.02億円黒転予想

株価(7/20)2680円   時価総額295億円   発行済株11005千株 

PER(DO予:-X)PBR(3.9X) 配当(24/2予)0円  配当利回り:-

 

要約

・25/2Q1は2.1%増収、4.06億円営業損失と半導体事業正常化遅れ計画比未達

・25/2期は下期半導体向け供給正常化で29.5%増収、営利2.02億円黒転予想も減額懸念

・新中計で27/2期に売上高110億円、営利率11%、EBITDA比率22%達成を目指す

 

 

25/2Q1は2.1%増収、4.06億円営業損失と半導体事業正常化遅れ計画比未達

 

 単結晶及びレーザ光源・装置などを手掛ける研究開発型企業。25/2Q1決算が7/12に開示され7/13にWEB説明会が実施された。25/2Q1連結業績は売上高13.88億円(計画比1.26億円未達、2.1%増)、営業損失4.06億円(同1.36億円未達、赤字拡大)となった。

 

 製品の市場別では、半導体事業が売上高5.99億円(計画比1.50億円未達、41.1%減)と、一部部材不具合問題の影響がQ1まで継続、具体的にはファーストベンダー部材の合格品不足と過去出荷分の修正対応増で、新規出荷数が低水準にとどまった。部門別利益開示は無いものの、利益面では売上高未達成影響が1.0億円、セカンドベンダー部材搭載製造に関連し一時的費用増加が0.38億円かかったとのことで、利益減額の大半が半導体事業によるものとなっている。一方で、受注は好調に推移、2023Q1受注の開示は無いが、25/2H1受注計画20億円に対しQ1で既に19.94億円受注し進捗率が97%に達し、受注残高が38.59億円(前期末比56.6%増)まで積みあがっている。

 

 ヘルスケア事業は売上高2.29億円(計画比0.41億円増額、6.9%減)と、一部需要が前倒しとなった。新領域事業は売上高5.59億円(計画比0.18億円未達、前Q1はライコル社含まず、同期比4.63億円増)となっており、多少、ライコル社の計画が未達となった模様。

 

 利益面では半導体事業の未達から、会社計画未達に。

 

25/2期は下期半導体向け供給正常化で29.5%増収、営利2.02億円黒転予想も減額懸念

 

 25/2期会社予想に変更はなく、売上高85.53億円(29.5%増)、営業利益2.02億円(11.65億円改善し黒字転換)、経常利益1.29億円(同8.95億円改善し黒字転換)、税引利益0.16億円(同4.38億円改善し黒字転換)予想。半導体向けが第一ベンダーの修理品の減少、Q2にセカンドベンダーに全面移管、Q3で山梨第4工場の2期工事完成で能力増強が測れるとして、積み増している在庫分の生産が順調に生産され、売上達成は可能としている。利益面でも歩留まりが100%確保し劣化もないとし、第2ベンダー品がコスト倍でも従来品の歩留まり50%と比較し、結果としてコスト吸収ができており、ファーストベンダー部材無償修理の削減とともに収益性は期を追って高まる見通しとしている。受注面ではQ1で既にQ2累計計画の97%を獲得しているが、主要ユーザーであるレーザーテックなどの4半期受注推移をみると足元24/6Q3で半導体関連受注が545億円(同期比2.2倍、Q2比39.0%増)となっており、四半期として過去3番目に高い数字となっている。基本的に先端デバイス向け検査装置を中心に、AI向けGPUやHBMなどの先端デバイス製造用の検査需要が加速し始めているとみられ、同社もその恩恵を受けて受注が急回復している模様。

 

 ヘルスケア事業は売上高16.0億円(0.5%増)予想。Q1は主力ユーザーの前倒し発注が寄与、がん診断PET装置での新規顧客向けの販売もQ2以降寄与しよう。なお頭部PET向けは本格拡大が26/2期となる見通し。全体としてQ1は前倒し発注であり、年度では期初計画通りに推移するとみられる。新領域事業は売上高25.27億円(36.8%増)予想と、子会社化したライコル社がフル連結され、この分で5億円程度の拡大が寄与する計画。Q1ではライコル社の収益が計画比多少未達だった模様で、イスラエル紛争の影響が続く懸念から、同部門の達成は未達懸念がある。なおライコル社を除き10%程度の成長を見込むが、この中では同社が出資しているLQUMO社の量子通信技術開発向けに波長変換素子を供給、加えてライコル社と共同で量子もつれ光子対光源モジュールを開発、溶液法を用いたSiC基板についてサンプル出荷を下期に予定している。

 

 

 利益面でも期初計画を据え置いているが、Q1が未達成、Q2も受注残高が積みあがっているものの生産が追いついていかないとみられ、半導体事業でQ2の黒字転換が難しそうで、全体の黒字化はQ3にずれ込もう。但し半導体事業で受注残高の消化が進む見通しで通期でのカバーは下期増額である程度可能とみられる。このため、会社予想はライコル社の収益未達懸念があり、全体として受注回復も収益は減額修正が懸念される。

 

新中計で27/2期に売上高110億円、営利率11%、EBITDA比率22%達成を目指す

 

 同社は毎年中計をスクロールして開示しているが、半導体事業の不具合発生で従来予想を大きく引き下げ、現在、中計として27/2期に売上高110億円、営利率11%、EBITDA比率22%達成を目指すこととした。

 

 事業別で半導体事業では先端半導体ウエハ検査装置用深紫外レーザの拡大が期待される。同社は266nmレーザを5nm以下のプロセスノードの最先端ロジック半導体製造プロセス向けにSiウエハ検査装置用光源として供給している。今後、AI半導体を中心に先端デバイスの設備投資が加速する方向にあり、同社は2nm以下のプロセス開発の実行のため、微細化ニーズに沿い257nm、244nm,213nmの新製品群を製品化した。同分野ではコヒーレント社は半導体検査向けでは販売しておらず、ドイツのTOPTICA社が大学向けの基礎研究用に販売しているが最先端ロジック向けには販売していないなど、同分野で同社が先行している状況とみられる。このため、今後、各半導体メーカーの評価、認定を経て市場投入を目指すこととなろう。このため26/2期以降の先端デバイスでの検査装置で大きく売上拡大の期待が高まる。                             

 

 新事業ではライコル社とのシナジー効果から、宇宙・防衛、美容、エネルギーなどの新事業、さらには量子分野など、10億円を超える事業創出を目論む。またパワー半導体SiCは溶液法がサンプル出荷され、高耐圧・大電力向けに従来の価格よりも安価で品位な製品として徐々に認知が高まろう。なお信州大学、京大と共同開発している酸化ガリウム(β-GaO.3)の低コスト製造法なども開発が進むとみられる。酸化ガリウムは家電やエアコンなど、低中耐圧分野で利用されるデバイスで日本が先行開発した分野だけに、低コスト製法で先行投資する中国、欧米に対しコスト競争力で対抗できるとみられる。また量子分野ではライコル社と共同で、量子技術分野の研究開発用途向けに、量子もつれ光子対を生成する波長変換素子と光源を製造販売している。

 

 波長変換素子に関してすでに世界各国の量子研究機関から継続的に引き合いがあり、販売を進めている。量子もつれ光源は共同で高付加価値製品として開発を進め、試作品は具体的な引き合いを頂ける状況になっている。現在、量子コンピューティング、量子暗号通信、量子センシング等、社会課題の解決に量子技術が大きな進展をするとみられ、特に同社が注目する量子暗号通信の市場は2024年の3300億円市場が2026年に8700億円へジャンプアップするとの予測がある。また同社の出資するLQUOM 社は、ソフトバンク社、オプテージ社の商用ネットワークにて、量子通信技術の実証実験を開始している。具体的には量子インターネットの実現に向け、東京都心部に敷設されている光ファイバーを使い量子もつれを伝送する実験を開始した。実験ではソフトバンク本社と東京都内のソフトバンクのデータセンターを結ぶ光ファイバーに、LQUOMの量子通信システムを組み合わせ、量子通信技術の検証を行う。今後、それらの進展も同社、ライコル社の製品に対する需要の喚起となる可能性がある。

 

 ヘルスケア分野では26/2期には頭部PET用シンチレータ単結晶の売上拡大が期待される。同分野はアルツハイマー型認知症の治療薬がFDAの承認を受けたことから頭部PETによるアルツハイマー診断件数が大きく伸びる。世界のアルツハイマー型認知症人口は2019年の5500万人から2030年には7800万人に増加すると見られ、頭部PET用シンチレータ単結晶需要は将来的にがん診断用を抜く規模が見込める。

 

 

 全体として25/2期に半導体向け受注が大きく回復、26/2期は半導体生産が過去最高を更新する中で先端半導体向けに事業の本格回復が見込まれ、利益については部材不都合一巡に伴い、利益急拡大が期待される。加えてヘルスケアではアルツハイマーでの頭部PETの拡大によるシンチレータの拡大が期待される。さらに新領域ではライコス社とのシナジー効果も加わり、27/2期の会社中期目標達成が期待される。     

 

 株価は4/15の本決算発表で赤字転落を受け、4/22には2510円の昨年来安値更新となったあと反発も長続きせず、7/10には2376円の年初来安値更新となっていた。しかし7/12の25/2Q1決算でQ1が減額着地ながら受注進捗率がQ2計画の97%達成、豊富な受注残を評価し反騰、7/18には2735円の戻り高値更新となった。現状、25/2期予想EPSが1.57円であり、PERでモノが言えない状況で25/2H1も減額着地の可能性が高く、中計27/2期想定EPS72円程度と想定した場合でもPER40倍と割高感が拭えない。今後、先端ロジック半導体向けなどで収益の急回復が望め、26/2期には再度最高益更新が期待されるものの、足元で25/2H1の減額修正懸念が高く、大きな変化が具体化するまではまだ時間を要するとみられる。受注拡大も25/2H1で悪材料が出尽くすまでは、ややネガティブ継続としたい。


 

 

(H.Mirai)

 

 

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