貿易統計(24年6月):人造黒鉛電極 輸出下落、輸入上昇
7月30日9時半、財務省は24年6月の貿易統計を発表した。電炉鋼メーカーが鉄スクラップを溶かす際に使用する人造黒鉛電極(以下電極)の輸出入状況は次の通り。
6月の電極輸出量は、前年同月比45.0%減の758トンと、2ヵ月連続で減少した。前月比では2.8倍(3ヵ月ぶり)と大きく増加。輸出平均価格は同1.6%下落し69.8万円/トンと2ヵ月ぶりに前年同月を下回った。前月比でも10.1%下落(3ヵ月ぶり)した。なお、主要国別の輸出状況については、「貿易統計(6月):国別電極輸出状況」を参照。
図表1、人造黒鉛電極の輸出量と伸び率(千トン、%)
出所:貿易統計よりIRU作成
一方、電極輸入量は、前年同月比5.8%減の1,530トンと、3ヵ月ぶりに減少した。前月比でも18.2%減(3ヵ月ぶり)となった。輸入平均価格は同11.4%下落(3ヵ月連続)し47.1万円/トン。前月比では0.6%上昇(7ヵ月ぶり)した。
図表2、人造黒鉛電極の輸入量と伸び率(千トン、%)
出所:貿易統計よりIRU作成
図表3、国別電極輸入量推移(千トン、%)
出所:貿易統計よりIRU作成
同月の総輸入量に占める割合が65.1%(先月より3.0ポイント下落)と最も大きい中国品の輸入価格は、同13.6%下落し42.0万円/トンと14ヵ月連続で軟化した。前月比でも0.8%低下(5ヵ月連続)。次に多かったフランスからの輸入価格は同14.5%下落し58.5万円(3ヵ月連続)、前月比で変わらず。インドからの輸入価格は同10.5%下落(2ヵ月連続)し51.2万円/トンで、前月比でも5.6%下落(2ヵ月連続)。マレーシアからの輸入価格は、同28.0%下落し56.6万円/トン。前月比でも9.9%下落(2ヵ月連続)。スペインからの輸入価格は58.5万円/トンと、前月比変わらず。
輸入価格のトレンドを見ると全般的に弱含み傾向になっている(図表4参照)。
なお、中国品は、ホソモノの平均価格であり、日本品とは用途も異なり、品質も悪い。フランス及びスペインは、日本製品並みの品質であるが、一部ホソモノも含んだ価格。インド品は中国並みの品質だが、サイズは標準サイズとホソモノがある。
図表4、主要輸入国別電極の輸入価格推移(千円/トン)
出所:貿易統計よりIRU作成
<参考>
図表5、電極輸出入価格の推移(千円/トン)
出所:貿易統計・生産動態統計よりIRU作成
(IRuniverse 井上 康)
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