コンゴ、CMOC採掘の銅をグレンコアなどに売却か どっこい資源国、大国を嗤う
中国勢がアフリカの資源採掘で攻勢を強めて久しいが、当のアフリカも黙っているわけではなさそうだ。米ブルームバーグ通信は9月11日、「スイス資源大手グレンコアなどの欧系3商社の事業連合が、コンゴ民主共和国(DRコンゴ)の鉱山で中国企業が生産した銅の入札に成功した」との消息筋の話を伝えた。コンゴ国営鉱山のジェカミンが1枚かんでいるようだ。
■CMOC→グレンコア+トラフィグラ+マーキュリア
報道によると、入札に成功したのはグレンコアのほか、シンガポールの仏系資源トラフィグラ、スイス商社のマーキュリア・エナジーの3社から成る事業連合で、この事業連合による鉱物購入は初めて。3社は、中国の洛陽モリブデン業(チャイナ・モリブデン、CMOC)がコンゴで運営するテンケ・フングルーメ鉱山(TFM)で採掘された銅のうち、ジェカミンの取得分を購入するとみられる。ジェカミンはTFMの権益の20%を保有している。
CMOCは、一時採掘を休止していたTFMでの採掘を2023年に再開したばかり。TFMは世界最大規模の銅・コバルト鉱山で、ジェカミンは7月時点で、CMOCによるTFMの2023年生産実績の約4分の1に当たる9万トンの銅取得を要求していたと伝わる。今回は、ジェカミン取得分のうち50%をマーキュリアが、残りの25%ずつをグレンコアとトラフィグラが折半するとの観測が出ている。
ジェカミンはこれまで取得分の銅のほぼすべてを他者に販売しており、今回も取得分はすべて販売に回すとの見方が多い。グレンコアとトラフィグラはそれぞれ自前の鉱山をコンゴで運営しているため、取り分は少なくなるようだ。
ジェカミンはコバルトに関してもCMOC側に供給要求を出していると伝わるが、こちらは進展は聞かれない。
■ジェカミン暗躍、大国を翻弄
銅相場が高止まりし、中長期的な需要拡大から資源各社が銅の調達に動く中、欧米や中国など大国の思惑は交錯する。コンゴをはじめアフリカ諸国は物流などのインフラも中国勢に抑えられ、ある意味「やられっぱなし」と見られていた。
しかし、実態はそうでもない。ジェカミンは8月にも、地元企業による中国勢への鉱山売却計画への政府差し止めに暗躍したと伝わった。
関連記事: コンゴ舞台にまた米中戦 中国勢の鉱山買収に政府が「待った」 背後に米国の影 | MIRU (iru-miru.com)
ジェカミンはそもそも、TFMに関しても、ロイヤルティ支払いに絡む埋蔵量の過少報告があったとして、2022年にCMOCによる採掘を休止させた「実績」がある。コンゴは供給側には要求を出し、販売先とも交渉できる立場だ。やはり「資源を持っている国」は強いのが現実であるようだ。
(IR Universe Kure)
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