新着情報

2025/05/01   鉄鋼需給(25年3月)
2025/05/01   輸出鋼材のスプレッ...
2025/05/01   日中ホットコイル輸...
2025/05/01   ミライラボ、中古E...
2025/05/01   日本製鉄:AM/N...
2025/05/01   アジアン廃プラマー...
2025/05/01   (速報)2025年...
2025/05/01   2025年4月フェ...
2025/05/01   2025年4月マイ...
2025/05/01   2025年4月レア...
2025/05/01   米中貿易摩擦緩和期...
2025/05/01   ニッケルブログ#2...
2025/05/01   原油価格の動向(4...
2025/05/01   アジアン廃プラマー...
2025/05/01   米ウクライナ、資源...
2025/05/01   元鉄鋼マンのつぶや...
2025/05/01   MARKET TA...
2025/04/30   第5回サーキュラー...
2025/04/30   大平洋金属:25/...
2025/04/30   共英製鋼:25/3...

コンゴ舞台にまた米中戦 中国勢の鉱山買収に政府が「待った」 背後に米国の影

 米国と中国の資源戦争がまたアフリカを舞台に繰り広げられたもようだ。銅とコバルトの生産大国であるコンゴ民主主義共和国(DRコンゴ)で、地元企業による中国勢への鉱山売却計画に政府が待ったをかけたと伝わった。国営大手が動いての出来事で、背後には米国の影も見え隠れする。

 

■国有ジェカミンの反対で取り消し勧告

 

 

 ロイター通信が8月27日に伝えたところによると、コンゴ政府は8月23日の閣僚評議会で、同国資源大手のチェマフ・リソーシズ(Chemaf Resources)による中国国有の中国兵器工業集団への資産売却計画について、取引停止勧告を採択した。コンゴ国営鉱山のジェカミンが計画に反対したためという。

 チェマフは南東部の都市コルウェジで開発中の銅・コバルト鉱山の開発権をジェカミンから借りており、売却にはジェカミンの同意が必要だった。チェマフは6月に中国側への身売りを発表し、当時は政府の同意を得たとしていたが、7月に入ってジェカミンが反対に回ったという。

 実は、ジェカミンを巡っては、7月5日に英経済紙のフィナンシャル・タイムズが「米当局がジェカミンに対し、買収を阻止するよう奨励した」との関係者の話を伝えていた。米国は中国兵器工業集団を制裁企業のリストに加えており、米国の企業や個人が中国兵器工業集団と取引することを禁じている。

 

■中国軍需企業による鉱山買収に西側危機感

 コンゴは洛陽モリブデン業(チャイナ・モリブデン、CMOC)をはじめ中国勢が銅やコバルトの取得で積極投資を進める国の1つだ。中国は鉱山採掘だけでなく水利から物流まで多くの投資をしており、官民共同でコンゴ経済に関わっている。

 

関連記事: 中国、コンゴを囲い込み 国有2社が70億ドルのインフラ投資、コバルト生産は世界首位 | MIRU (iru-miru.com)

 

 中国兵器工業集団は中国国務院が直接管轄する、中央政府直属の国有大手。航空機やミサイルなど軍事用品の生産が主業務だ。鉱物を含め、軍用品生産に必要な生産財の取得も手掛ける。コンゴへは2020年ごろから武器を供給するなどしており、軍事面でつながりがあった。

 今回は傘下の北方工業を通じての買収計画で、チェマフが所有するコンゴ南東部の鉱山2か所とコンゴの他の地域の資産所有につながる権利が含まれていたとされる。コンゴ南東部はいわゆる「カッパー・ベルト」の北端に当たり、銅やコバルトの鉱山が集中する。銅もコバルトもミサイルや航空機の生産に必要な物質だ。

 

コンゴは南東部に鉱山が集中する

(出所:JOGMEC)

 

 一方のチェマフはカナダの資源大手トラフィグラが支援している企業として知られる。トラフィグラは2022年にチェマフに6億ドルを融資し、引き換えにチェマフが生産する水酸化コバルトの販売権を得たほか、チェマフに対する債権者となった。チェマフはこのトラフィグラへの負債返済が足元のコバルト価格の低迷で難航し、資産売却を検討するに至ったとされる。

 コバルト価格は2022年初めからの約2年8か月間に7割弱下落している。

 

2022年1月からのLGコバルト価格の推移(Co99.3%)($/LB)

 

 

■米中対立に巻き込まれ、先行きは振出し

 トラフィグラはかねて米国と共同でチェマフへの支援相手を探し、米スタートアップ企業などを提案したが、スタートアップ側が撤退するなど難航していた。米中対立に巻き込まれた形のチェマフの先行きは振出しに戻ったことになる。大国の事情に翻弄されたくないというのが新興国共通の願いなのだが、なかなか難しいようだ。

 

関連記事:米中、コンゴで火花 米当局がジェカミンと定期協議、JOGMEC覚書の布石 | MIRU (iru-miru.com)

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

関連記事

関連記事をもっと見る