中国、コンゴを囲い込み 国有2社が70億ドルのインフラ投資、コバルト生産は世界首位
中国がコンゴ民主主義共和国(DRコンゴ)への囲い込みを強化している。ロイター通信などの外電は1月29日、「中国の建設会社2社がコンゴのインフラに最大70億ドル(約1兆365億円)を投資する」と伝えた。中国企業はコンゴでの生産で2023年にコバルト生産が世界首位となった。採掘からインフラまで、包括的なコンゴの囲い込みを目指す。
コンゴのフェリックス・チセケディ大統領
(出所:DRコンゴ政府HP)
投資すると伝わったのは中国の建設会社である中国水利水電建設と中国中鉄の2社。中国水利水電は中国政府が直轄する国有大手である中国電力建設集団が株主。中国中鉄も、中国の鉄道省を前身とする国有企業だ。
ロイターによると、両社とコンゴ当局は1月27日、中国側と地元企業ジェカミンとの合弁会社をめぐり、中国側の出資比率を従来と同じ68%で維持することで合意した。インフラ投資はこの合意と引き換えで、中国側はこれに加え年間1.2%のロイヤルティーをコンゴ政府に支払う。インフラ投資の金額は、中国側は当初、30億ドルを示していたが、コンゴ側は200億ドルを求め、交渉が続いていたという。
報道によれば、出資比率の鉱床の的になった合弁会社は、銅とコバルトの生産を手掛ける。今後で銅とコバルトの採掘を手掛ける中国金属採掘大手の洛陽モリブデン業(チャイナ・モリブデン、CMOC)は1月初旬、2023年のコバルト生産量は前年の2.8倍の5万52526トンに達し、世界首位となったと発表していた。
関連記事:中国の洛陽モリブデン業、23年のコバルト生産5万5000トン 世界首位 | MIRU (iru-miru.com)
コンゴは銅生産でも世界3位の規模。今回の出資でコンゴのインフラが整えば、中国は採掘から物流までコンゴの鉱業を包括的に掌握することになる。ロイターは、「コンゴの金属生産は既に中国勢がほぼ支配している」とも伝えた。
(IR Universe Kure)
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