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世界の鉱業、24年は「供給拡大、需要は複雑」マッキンゼー最新レポート

 米コンサルティング大手のマッキンゼー・アンド・カンパニーは9月17日、自社ホームページ上で、2024年の鉱業を分析し展望した最新レポート「Global Materials Perspective 2024」を公開した。この中で足元の世界の金属の需給バランスについて、「供給は多くで拡大が顕著である一方、需要は技術革新により状況がやや複雑だ」と述べた。

 

プレスリリース:Global Materials Perspective 2024 | McKinsey

 

■世界経済低迷の影響、特にニッケルやリチウムで顕著

 マッキンゼーは、「エネルギー業界の80%は従来、鉄鋼、石炭、金、銅、アルミニウムの 5材料で構成されてきたが、状況は急速に変化している」として、脱炭素化に伴う新たな金属に注目が集まっているとした。ただ、現時点では状況は早期の状態にあるとし、変化は将来的なものになるとも指摘した。

 マッキンゼーによれば、2000年から2023年にかけて、金属・鉱業の収益は1兆7,000億ドル増と約75%急増し、プラスチック、パルプ、建材を含む材料事業全体の70%を占めた。素材全体は世界の総生産(GDP)の約7%を占める。しかし、2024年は、世界経済の成長が鈍化し、低炭素技術への移行が予想よりも緩やかになったため、鉱業業界にとってより困難な年になるとした。この影響を受けるのは、特にニッケルやリチウムなどのバッテリー材料の価格に顕著だとする。ただ、企業の収益については過去に比べ厳しい状態ではあるが、財務状態はなお健全だとした。

 

2000年以降の世界の鉱業の収益の伸び

 

■短期の需給バランスは供給過剰気味

 マッキンゼーによると、足元の供給は多くで拡大している。特にリチウムとニッケルの供給は2020年時点の予想を超えて急拡大している。このうち、リチウムはオーストラリアと米国の合弁企業が予想よりも早く生産を開始できたことや、中国での生産拡大が寄与した。ニッケルはインドネシアの高圧酸浸出(HPAL)ラテライト生産が、供給拡大の主要因だ。

 一方、銅は一部の資源企業の減産や操業停止が響き、生産拡大の面では見劣りしている。

 

ニッケル、リチウム、銅の供給の伸び

 

 

 需要面はやや自体が複雑だ。技術革新により、鉱物により需要が変化しているためだ。

 例えば、電気自動車(EV)の生産においては、車載電池がニッケル・マンガン・コバルト(NMC)からリン酸鉄リチウム(LFP)へと移行が進む。電池材料のレアアース(希土類)依存を下げる方向も目立つ。反面、イリジウム不足の可能性を見越してイリジウムを多く使用する電解槽から脱却する動きは乏しい。鉱物によってかなり需要にばらつきがある。

 

EV材料金属の需要の変化

 

■2035年までの金属需要は堅調

 一方、中長期では、マッキンゼーは2035年までの需要は堅調とした。鉄鋼と一般炭を除くすべての材料で、過去10年間の需要拡大を上回って需要が伸びる見通しだ。特にリチウムと銅の需要が伸びる。ニッケルとレアアースも過去10年間よりも需要は伸びると予測されるが、車載電池の技術革新を考えると、以前ほど楽観はできない。

 

各鉱物の2035年までの需要の伸び(一部)

 

 2035年時点ではなお、一部の鉱物は供給不足が予測される。特にレアアース、リチウム、硫黄、ウラン、イリジウム、銅は供給不足が続きそうだ。これはそれぞれの鉱山開発計画や需要の不確実性などを鑑みた結果で、例えばウランなどは原子力発電への世界の見方の変化が需給ギャップに影響する可能性がある。マッキンゼーは、需給ギャップ面で最も中止しなければならないのは銅だとも指摘した。

 さらに、マッキンゼーは、予測される鉱物需要を満たすには、2035年までに5兆3000億ドルの投資と270ギガワット(GW)の電力が必要だとも述べた。

 

2035年時点の各鉱物の需給ギャップ

(図表はすべてマッキンゼーアンド・カンパニーの公開レポートより)

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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