鈴木(6785)24/6期決算説明会メモ等 ポジティブ継続
24/6期5.1%増収6.9%営利増、25/6期11.3%増収13.8%営利増予想を収益拡大続く
株価(9/24):1631円、 時価総額235億円、 発行済株数14404千株
PER(25/6DO予):9.4X PBR(0.93X)配当(25/6予)80円 配当利回り:4.9%
・24/6期スマホ低調、産機・半導体回復遅れ5.1%増収6.9%営利増と計画未達
・25/6期11.3%増収13.8%営利増予想と中計計画未達想定も円安継続で上振れ期待
・中計予想で27/6期に売上高400億円、営利50億円目標と営利1年達成遅れも上振れ期待
24/6期スマホ低調、産機・半導体回復遅れ5.1%増収6.9%営利増と計画未達
スマホや自動車電装部品用コネクタを主力に事業展開。24/6期は売上高277.26億円(期初計画比18.66億円未達、5.1%増)、営利33.69億円(同2.39億円未達、13.3%増)、経常利益36.68億円(同0.77億円増額、13.3%増)となった。
売上高の内訳では、主力の電子部品事業が売上高204.30億円(計画比11.27億円未達、7.3%増)、営利32.42億円(0.3%減)となった。中身は電子部品コネクタが売上高160.10億円(同19.39億円未達、3.8%増)とスマホ向けが5月以降に新機種用部品の需要があったものの伸び悩み、産機・半導体向けの回復が遅れで売上未達成に。単独での用途別では多機能端末向けが46.10億円(3.6%増)とスマートフォン新機種向け寄与で増収を確保、FA向けは10.72億円(46.5%減)と大幅減、その他産業向けも21.99億円(28.4%減)と半導体向けなどの低迷が響いている模様。一方で自動車向けは62.18億円(32.5%増)と自動車生産の回復、車載部品ビジネスでトヨタヤリス向けリチウムイオン電池部品14.92億円(40.2%増)、新たな車載センサー向け7.40億円(19.2%増)など車載部品で22.77億円(32.5%増)が寄与した。
もう一方の主力製品である住友電装向け自動車電装用コネクタは、売上高44.92億円(同0.72億円増額、24.3%増)、営利7.78億円(32.5%増)と一部自動車メーカーの認証不正問題があったものの住友電装の好調に支えられ、シェアも48%をキープし伸張、利益も数量効果136.68億個(計画比19.67億個増額、17.9%増)が寄与した。
金型部門は売上高15.62億円(同0.1億円未達、1.9%減)、営利6.13億円(2.2倍)と、電子機器向け、自動車電装向け金型を主軸に販売、生産効率向上と高付加価値化で売上が計画並みで利益は大幅増加。
機械器具事業は売上高57.26億円(同7.29億円未達、0.3%減)、営利6.72億円(23.5%増)に。車載関連装置が24.20億円(10.1%減)とワイヤーハーネス組立装置などが一服したことから自動機器全体で32.50億円(同7.33億円未達、4.8%減)となり減収に。医療関連は24.76億円(0.04億円増額、6.3%増)とアイテム2製品が18.19億円(8.9%増)と堅調な伸びに。利益面ではMIX良化で増益に。
全体を通じて営業利益面では増収効果が計画未達だったものの、原材料、製造経費減などの効果があり、外注加工費増を補い総利益率が0.1ポイント改善し20.4%となり、販管費増も0.76億円の負担増に止まり、営業利益は計画未達ながら伸び率は売上の伸びを上回った。さらに経常利益では円安による為替差益2.93億円(1.65億円増)、寄付金減0.6億円などから会社計画を上回る着地となった。
25/6期11.3%増収13.8%営利増予想と中計計画未達想定も円安継続で上振れ期待
25/6期会社予想は24/6期の売上高、営業利益が計画未達だったこともあり、売上高308.72億円(中計計画比24.28億円減額、前期比11.3%増)、営業利益38.33億円(同4.67億円減額、同13.8%増)、経常利益38.27億円(4.3%増)、税引利益23.55億円(3.9%増)予想とした。中計では経常利益予想を開示していないが、円安傾向からすると経常利益は中計に沿った水準を確保する見通しと判断される。
部門別売上では部品事業が売上高228.34億円(中計計画比12.16億円減額、前期比11.8%増)予想。中計予想で車載部品ビジネス売上を27.63億円(中計比ほぼ計画通り、21.3%増)と想定しており、自動車電装用コネクタも順調な伸びを示していることから、中計減額の中心は半導体、FA向けの回復が遅れていることが影響していると判断される。なおスマホ向けは新型機種対応などでシェアアップし増収を確保するとみられる。機械器具も65.14億円(同7.36億円減額、13.7%増)予想。医療組立が26.78億円(同0.77億円減額、8.2%増)と若干の減額に止まっており、自動機器が38.36億円(同6.64億円減額、18.0%増)と、期待していたLEDフリップチップ実装機などの不振、社内向けの拡大による外販の伸び悩みなどが影響しているとみられる。
利益面では設備投資増、金型投資増による償却負担増が見込まれるが、電子部品事業で新型スマホ向けの拡大、トヨタHEVの好調でLiB関連部品の拡大、半導体向けもテスト装置向けのコネクタ関連部品の急回復が見込まれ、会社計画を上回る収益が期待される。
中計予想で27/6期に売上高400億円、営利50億円目標と営利1年達成遅れも上振れ期待
会社側では今回、中期経営目標として27/6期に売上高400億円、営業利益50億円とした。この数字は前回の新中計計画である26/6期に売上高364億円、営業利益50億円目標に対し、営業利益で1年後ずれの達成を見込んでいる。
事業別の売上開示は部分的な開示しか無いが、DO推定で27/6期は金型20億円、部品297億円、機械器具83億円程度とみられる。
部品セグメントではスマホ向けのシェア拡大、自動車部品事業の継続的な投資と事業拡大が見込める。特に車載部品ビジネスではヤリス向けに加え、センサー関連で新たな取引が拡大、25/6期以降には他の2社の売上も急拡大が見込まれる。また車載用コネクタではEV化やIoT化の推進で車載用コネクタ端子の重要性が増し、用途の多様化で端子需要が拡大する見通し。同社はプレスフィット工法というバネ性を持たせた端子をPCBのスルーホールに圧入するだけで接続し、電気的接続と機械的保持の機能を同時に持たせ、はんだ付けを不要とする実装方法を開発、製造工程の簡略化、製造コストの低減を実現した。鉛レスで環境負荷も少なくできる技術で、様々な電装部品をプレスフィット端子に置き換えが可能で、同社電子部品コネクタの拡大に寄与しよう。
自動車電装用コネクタは世界の自動車用ワイヤーハーネス市場規模が、2024 年の521 億 ドル予想から 2032 年に 819 億 ドルに成長するとの予測もあり、矢崎総業と2強の住友電装に対し、能力増強も継続しており、自動車の電動化から順調に売上拡大が見込まれる。
機械器具ではワイヤーハーネス製造装置の生産能力増強、新規事業領域への参入などが見込まれる。特に自動車ワイヤーハーネス生産装置は住友電装向けだけでなく、自社生産向けにも注力、生産工程の自動化で自社の収益性も高める計画。同様に医療関連部品製造装置も社内向けを主体に収益性向上の手段となる。その他ではMiNi-LEDフリップチップ実装機なども加わってこよう。
医療機器医組立ではテルモ向けカテーテル関連アイテム2について、自社製の自動化システムを新工場に導入、収益性の向上も実行している。現在、カテーテルは心疾患領域の市場がメインで高齢者人口増から国内市場は年率4%程度の伸びを示しており、安定事業として着実な収益の拡大が期待される。
全体を通じ、既存事業の拡大に新領域の事業拡大が加わることで27/6期中計計画の達成が可能と見られる。
株価は日経平均の大暴落時に同時に大幅下げを演じ8/5に1151円まで瞬間的に下落したが、8/8の本決算で24/6期が経常利益で増額着地となり、25/6期2ケタ増収増益予想を開示したことから反騰、8/30には1727円の年初来高値を更新し、現在も高値圏で推移している。現在25/6期会社予想EPS164.21円に対しPER9.9倍は東証プライム電機平均PER24.8倍に対し割安感があり、類似企業のエノモトPER21倍、納入先の各コネクタメーカーと比較しても割安で、配当利回りも配当性向50%を目安としたため4.9%予想と高く魅力的となっている。今後、新分野のリチウムイオン電池関連の事業拡大、車載向け精密コネクタ用部品の拡大、住友電装向けの拡大も見込まれ、ポジティブ継続と考える。
*エノモト(6928)、ヒロセ電機(6806)、日本航空電子(6807)との比較
(H.Mirai)
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