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ニッケルブログ#16 ニッケル産業 - 第2部 - ニッケルラテライトの加工と製錬

 このシリーズの第2部では、2つの主要なニッケル鉱種のうちの1つであるラテライトについて詳しく説明し、最も一般的な加工技術である製錬について取り上げます。

 

ラテライト鉱床

 ラテライト鉱体は水の流れによる基盤岩の風化により作られ、元の岩盤の上部に層が形成されます。この鉱体のバリエーションとしてアルミ(ボーキサイト)または金が含まれるものもあり、組成は母岩と風化の度合いで決まります。ニッケルラテライト鉱は、高マグネシウム岩盤中に、ニッケル分の低いケイ酸塩鉱として生成されます。風化過程で様々な元素は溶解し流れ出したのち再結晶します。これらのプロセスによりラテライト鉱床は百万年以内に形成されることもありますが、温帯あるいは寒帯の地表に露出した鉱床は10億年以上経っても完全に変質しないものもあります。

 

 ラテライトの主な処理方法として製錬と高圧酸浸出(HPAL)の二つがあります。

 

 製錬は主としてサプロライト鉱を対象に、鉄ニッケル合金(フェロニッケルーFeNi, ニッケル銑鉄)を得るために、一方HPALはリモナイトの処理あるいは高純度最終製品用に使用されます。

 

 ラテライトは現在、ニッケル生産量と既知の陸上資源の70%以上を占め、ニッケルの供給源として急成長しています。

 

ラテライト製錬

 

 現在の業界ではロータリーキルン電気炉(RKEF)処理が圧倒的に多く行われています。溶鉱炉はさほど使用されません。ロータリーキルン電気炉の主な工程は三段階あります:乾燥、還元及び製錬です。サプロライト鉱が通常の原料ですがリモナイト鉱も製錬可能です。多くの製錬所は下記のプロセスを使用していますが例外もあります。

 

RKEFルート

 必要に応じ破砕されブレンドされた鉱石はロータリードライヤーで乾燥されますがここでは通常石炭またはガスを使用し100℃以上に熱して鉱石中の付着水分を一部除去します。目的は次の段階に進むためにべたつきもなく粉塵も出ないものにすることです。

 

 乾燥後鉱石はロータリーキルンに持ち込まれさらに乾燥され化学処理が始まります。ロータリーキルンでは化石燃料を燃焼し900℃程度にまで加熱します。

 

 無煙炭などの高炭素製品も化学的還元剤として添加され、酸化鉄及び酸化ニッケルの鉱物から酸素を除去して金属製品とします。さらに石灰石が製錬工程の化学組成を調整するために加えられることもあります。

 

 この結果金属化された鉄ニッケル熔体が沈んだ炉の底部から取り出され、一方軽いスラグは上部に浮きます。熔体の鉄ニッケル合金はその後の製鋼工程に有害な成分を除去するため精製され、輸送のため固形化されるか最近の一貫生産工場の一部では高温のまま製鋼工程に運ばれます。

 

 大型の回転装置はよく整備されたローラーシステムの下で高温で連続稼働しなければなりません。電気炉は大量の電力の連続供給を必要とし、炉によってはニッケル生産トン当たり最大40 MWhを必要とするものもあります。ほとんどの炉には、炉のライニングの耐久性を確保するために、高度な冷却システムが必要です。

 

 製錬は、熱エネルギー及び化学的還元に、さらには発電にも化石燃料を使用し、非常にエネルギー集約的です。石炭燃焼による大気汚染は金属含有の粉塵がうまくコントロールされていれば発電所と同程度です。発生するスラグは比較的安定しており多くの場合建設資材として使用可能です。


ニッケルラテライト鉱床の典型的な組成

 

 

フルライフサイクル・アプローチ

 ニッケルのようにリサイクル率の高い金属の初期生産にかかわる環境への影響は、ある製品(例えばニッケル電池あるいはニッケル含有ステンレス鋼)のライフサイクルの終了時にどれだけ回収され、別の製品に再利用されるかによって、時間をかけて償却することができます。ニッケルのフル「ライフサイクル」はニッケルが使用されている製品のそれに比べはるかに長期に及びます。

 

 次回のニッケル誌では電池市場にニッケルの中間製品を供給するため生産能力を拡大しているHPAL(高圧酸浸出法)について見ていきます。

 

 

ニッケル協会とは

https://nickelinstitute.org/jp/

 ニッケル協会は、全世界の一次ニッケル生産者から成る世界的な団体で、会員全てを合わせれば中国を除く世界の年間ニッケル生産量のおよそ85%を占めます。協会の使命は適切な用途でのニッケルの利用を促進、及び支援することです。ニッケル協会はステンレス鋼など現行及び新規のニッケル用途の市場を成長・支援を行うと共に、公共政策と規制の基本として、健全な科学、リスク管理、社会経済的便益を促進しています。ニッケル協会の科学部門であるNiPERA Inc.を通じて、人の健康と環境に関係する最先端の科学研究も実施しています。ニッケル協会はニッケル及びニッケル含有材料に関する情報を集約する拠点であり、オフィスをアジア、欧州、北米に設置しています。

 

 

 

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