中国・紫金鉱業、ガーナの金鉱を買収へ 米ニューモントから1480億円で
中国金鉱最大手の紫金鉱業は10月9日、上場する香港証券取引所で、「西アフリカ・ガーナのアキェム(Akyam)金鉱の権益すべてを買収する」と発表した。買収額は10億ドル(約1480億円)。規制当局の承認を待ち、年内の買収手続き完了を目指す。
プレスリリース(紫金鉱業):2024100900053.pdf (hkexnews.hk)
プレスリリース(ニューモント):Newmont Corporation - Newmont Announces Definitive Agreement to Divest Akyem for up to $1 Billion
■簿価の2倍の高額取引、ニューモントほくほく
金鉱の現所有者である世界金鉱最大手の米ニューモント・マイニング・コーポレーション(Newmont Mining Corp)も自社ホームページ上で同日、同様の発表をした。ニューモントは買収手続きの完了時に紫金鉱業からまず9億ドルを受け取り、特定の条件が確定した後に1億ドルを追加で受け取る。investingの9月10日の報道によると、買収価格はアキェム鉱山の簿価5億7100万ドルの2倍近い水準で、証券会社が試算した資産価値6億5000万ドルに比べても高い。高値での売却成功に、発表後は証券会社によるニューモント株の目標株価引き上げが相次いだ。
ニューモントは金生産で世界最大手だが、コスト高などで業績が悪化。2023年12期決算は最終赤字を計上していた。高負債にも悩み、2024年に入り非中核資産の売却意向を発表していた。既に9月にオーストラリアの小規模鉱山を売却。インドネシアの鉱山の売却も決めている。
■紫金鉱業、中長期の金値上がり見込む
一方の紫金鉱業は上昇し続ける金相場を背景に、中長期的な金需要の好調を見込む。金相場は10月9日の米ニューヨーク市場で$2626/tozを付けた。米利下げに伴う資金流入観測などを背景に10月に入っても快進撃が続き、過去最高値圏にある。
過去20年間のNY金相場の推移($/toz)
今回買収したアキェム鉱山は、2013年に商業向け操業を開始。金生産量は2021年に11.9トン、2022年は13.1トン、2023年に9.2トンだった。
(出所:紫金鉱業の発表資料)
ただ、ガーナでは金採掘に伴う環境汚染などの被害が深刻だ。同国では最近も違法な金採掘を巡っての鉱山労働者のストライキが起き、政府との交渉が行われたばかりだった。
(IR Universe Kure)
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