サステナブルにパック!〜TOKYO PACK 2024
10月23日(水)〜25日(金)の日程で行われている「TOKYO PACK 2024- 2024東京国際包装展 -」(@東京ビッグサイト)。今回のテーマは「世界が驚く包装イノベーションを!~ TOKYO PACKから世界へ~」となっている。 包装と「環境「機能」「次世代技術」「印刷・表示技術」という4つの分野(テーマ)に大きく分けられている。さまざまな包装技術や素材が出品されたが、中でも目を引いたのが中国・台湾・韓国企業の出展の多さだった。ざっと数えただけでも200社弱はあった。かなり高品質でおしゃれなバッグや包装製品などを展示、今後、日本市場にどれほど食い込んでくるのか、多少興味を覚えた。筆者は主に、環境リサイクル系の製品をウォッチング。
三井化学〜ブース全体でリサイクルの入口から出口までを紹介
“Sustainable Challenge for Packaging”をコンセプトに、リサイクル、リニューアブル製品を併せて展示。入口としてのリサイクルに適した包装から、プロセスとしてのリサイクルにかかわる技術を経て、出口としての再生材料に至る、一連の流れをブースで見せていた。まさに「リサイクル一色」のブースで、リサイクルはしたものの「出口」でどういった製品になるのかもしっかりと明示していた。
具体的には、入口はリサイクルに適した包装設計であるモノマテリアル包装やリサイクルに適したトップシール包装、プロセスはリサイクル技術である相容化材やトレーサビリティ管理のブロックチェーンプラットフォーム、出口はメカニカルリサイクル・ケミカルリサイクルの材料や取組みを紹介していた。例えば、農家向けの肥料の樹脂袋をしっかり回収、これをメカニカルリサイクルして、製袋メーカーが原料とし、全農に肥料袋として納めるサプライチェーンを示していた。
リニューアブルでは、再生可能資源として、バイオマス材料と紙の容器包装を展示。バイオマス材料では、セグリゲーション方式の接着性樹脂のほか、マスバランス方式でのケミカルリサイクル材料と組み合わせた樹脂の供給体制、そして食品に関わるバイオマスの視点を組み込んだ『Kitchen 2 Kitchen』のコンセプトも紹介。
山中産業〜生ゴミと一緒にコンポストできる不織布
同社は、京都に本社を置く、ティーバッグフィルター、コーヒー用フィルターなどを製造している。素材は主に不織布だが、今回の展示では、環境に配慮した生分解性の不織布をライナップ。「ティーロード ソイロン」は、植物のデンプンを原料としたバイオマス素材であるポリ乳酸から作った飲料用フィルターで、適切な条件下で、加水分解した後、微生物によって分解する。
ティーバッグなどは、通常使い終わったあとは、可燃ゴミ(生ゴミ)として排出、一般的に自治体により焼却処理がなされる。しかし、ヨーロッパなどでは生ゴミは、コンポスト(堆肥化)するのが、かねてからの習慣で、日本でも今後はそうした処理の流れになることも、検討されている。そうした時、ティーバッグの不織布部分は、混入したまま、残留してしまうことになるが、これが生分解性であれば、その懸念もない。こうした生分解性の樹脂と食品の包装などは、今後一層検討されていきそうだ。
王子グループ〜アルミ付き紙パックもリサイクル
同社グループのテーマは「GREEN INNOVATION - 次のフロンティアへ ‐ 」。環境配慮型製品の拡大とサステナブル包装資材のトータルパッケージングプロバイダーとして様々なソリューションを紹介。やはり「紙化ソリューション」の紹介が多く、さらに「グローバルソリューション」「リサイクルソリューション」といった3領域を中心に紹介していた。
なかでも目を引いたのが、アルミ付き紙パックのリサイクルシステムだ。同社はスイスに本拠を置く紙容器の世界大手、テトラパックの日本法人である日本テトラパックと協業したリサイクルシステムの整備に乗り出している。食品スーパー大手のライフコーポレーションと組んで店頭回収を開始している。紙同様、リサイクル性の高いアルミを機械的に分離することに成功。しかし問題は回収率の低さにある。消費者からリサイクル工場へと至るアルミ付き紙容器のリサイクルルートのうち、工場については現在のキャパシティーで賄うことができるが、リサイクル拡大には、回収拠点の開拓、消費者の認知度向上がポイントとなる。スーパーなどで開催される関連の催事に絡めたイベントを実施していくほか、インフルエンサーを活用して消費者に訴える方法も検討中だという。
DICグループ〜インクの載った食品トレーも綺麗にリサイクル
DICグループはパッケージ分野の持続可能性なを目指し、一般的な「3R(Reuse、Reduce、Recycle)」の取り組みに新たにRedesign, Renewの2つを加えた「5R」を切り口としたソリューションや製品を展開。今回の出展では、“未来へ紡ぐ、サステナブルパッケージの新たな一歩へ” をコンセプトに、循環型社会の実現に向けたパートナー企業とのコラボレーション展示を含む、多くのソリューションや製品を紹介していた。

容器包装系の樹脂には、印刷が施されていることが多く、リサイクルを行うには、この「インク」をいかに分離するかが課題になる。DICは、株式会社エフピコとプラスチック製食品トレーの完全循環型リサイクルに向け、食品トレーの原料であるポリスチレン(PS)について、世界初の溶解分離リサイクル技術を用いた協業を開始した。DICは色柄付き発泡トレーの新たな溶解分離リサイクル技術(Dic法:Deinking chemical process)を開発しており、再生ペレットから着色成分を除去し、ポリスチレン生産プラントに投入することで、発泡トレーについても従来の白色のエコトレーと同様に「トレーtoトレー」のリサイクルを可能にしている。
(IR universe kaneshige)
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