ロシアのノルニッケル、今年の生産目標を上方修正 精錬所の修理終え生産増 制裁も無関係
ロシアの鉱業大手ノリリスク・ニッケル(ノルニッケル)は10月28日、自社ホームページ上で、「すべての金属で、2024年通年の生産目標を引き上げる」と発表した。修理中だった精錬所の施設が再開したほか、運営効率が向上し、原材料となる鉱石の調達も増加したため。
プレスリリース:Nornickel announces Consolidated production results for 9M 2024 - News and releases - Nornickel
ノルニッケルは、主力のニッケルの2024年の生産目標を1月29日時点の18万4000-19万4000トンから、19万6000-20万4000トンへと上方修正した。同様に、銅を最大35万7000トン、パラジウムを272万8000オンス、プラチナを66万4000オンスまで生産するとの目標を掲げた。
ノルニッケルの2024年生産目標(10月時点)
ノルニッケルの2024年生産目標(1月時点)
同社の2024年1-9月の生産実績はニッケルが14万6200トン、銅が32万6000トン、パラジウムが215万6000オンス、プラチナが52万1000オンス。いずれも前年同期に比べ小幅な増加で、プラチナは小幅に前年割れした。ただ、これから年末にかけては、北東部キーロフ州にあるナデジダ精錬所の大規模修理が9月に終了し、ニッケルの精錬が増えるとしている。
ノルニッケルの2024年1-9月生産実績
(出所:すべてノルニッケル社発表資料)
調査会社ディールラボの2022年資料によると、ノルニッケルはニッケル精錬とパラジウム生産で世界首位、プラチナでは世界3位。ニッケルでは7%、パラジウムでは38%と圧倒的なシェアを誇る。同社はロシアのウクライナ侵攻に伴う西側諸国の制裁対象からは外れているが、決済面などで支障が出ており、近年は中国などのアジア向け貿易が増えているとされる。
(IR Universe Kure)
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