アングロアメリカン、丸紅など出資の豪鉱山を売却 BHPかわし経営スリム化急ぐ
英資源大手アングロアメリカンは11月4日、自社ホームページ上で、出資していたオーストラリア石炭会社ジェリンバ・グループ(Jellinbah Group Pty Ltd)の保有株をすべて売却すると発表した。ジェリンバと同社が運営する豪州の鉱山には、丸紅や双日といった日本勢も出資し日本との関わりが深いが、スリム化に向け売却対象となった。
■豪鉱山、丸紅や双日が出資
アングロは保有するジェリンバ・グループ株33.3%を、ジェリンバの既存株主の1社であるザシュビン(Zashvin Rty Ltd)に売却する。ザシュビンは既にジェリンバ株を33.3%保有しており、今回の取引によりザシュビンの持ち株比率は6割強に跳ね上がることになる。ジェリンバ・グループには、丸紅も約3割を出資している。
今回の売却額は16億豪ドル(約1632億円)。支払いは現金で行われ、手続きは2025年4-6月期に完了する見通しだ。アングロはこれまで、ジェリンバの炭鉱運営に関わっておらず、生産された石炭も販売していないが、投資収益として2023年度に約7億8000万ドルを得ていた。
プレスリリース:Anglo American agrees sale of its minority interest in Jellinbah for A$1.6 billion | Anglo American
売却の対象となったジェリンバ・グループは、豪クイーンズランド州で炭鉱2か所を運営する。ジェリンバ・グループのホームページによると、このうち、ジェリンバ・イースト鉱山は、権益の70%をジェリンバ・グループが保有し、残りを丸紅リソーシズデベロップメントと双日デベロップメントがそれぞれ15%ずつ保有する。
また、もう1つのレイク・バーモント炭鉱は、ジェリンバ・グループが権益の7割を保有し、残りを丸紅リソーシズ、双日、AMCの3社が10%ずつ保有する。
■プラチナ事業も一部売却、ダイヤからも撤退目指す
アングロは経営改善に向けた事業スリム化が急務だ。春に豪同業のBHPに身売りを迫られ、5月にやっとかわしたばかり。他の資源大手もアングロ買収をもくろむとも伝わる中、非中核事業の売却を急いで財務改善を目指す。しかし、売却候補だった豪クイーンズランド州の炭鉱で火災が起きるなど難事は絶えない。
関連記事:アングロアメリカン泣きっ面に蜂 炭鉱で火災、BHPからの買収かわし資産再編目指すも | MIRU
アングロは豪州の他の石炭事業の買収にも取り組むとしており、BHPからの買収提案時に分離を条件にされたダイヤモンド事業からも撤退したい考えだ。9月にはプラチナ事業を一部売却。主力の鉄鋼や、今後、需要増が見込まれる銅に注力する方針だ。
(IR Universe Kure)
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