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長野計器(7715) 25/3H1WEB決算メモ ポジティブ継続

25/3期4.1%増収8.4%営利増予想は増額期待、26/3期以降も半導体・世界展開で収益拡大

株価2417円(11/29) 時価総額469億円      発行済株19433千株

PER(25/3DO予7.3X)PBR(1.07X) 配当(25/3DO予)50円  配当利回り:2.1%

 

要約

・25/3H1は3.7%増収6.8営利増と上振れ着地し上期として売上、営利で連続過去最高更新

・25/3期4.1%増収8.4%営利増予想に変更無く半導体向け回復、円安も寄与し増額期待

・新中期経営計画の26/3期売上高753億円、営業利益97億円は増額達成期待

 

25/3H1は3.7%増収6.8営利増と上振れ着地し上期として売上、営利で連続過去最高更新

 

 圧力計と圧力センサを2本柱として事業展開、圧力計は世界トップシェア。25/3H1決算が11/13に開示され、11/27に説明会が開催された。25/3H1は売上高356.31億円(期初計画比15.31億円増額、3.7%増)、営利39.94億円(同8.94億円増額、6.8%増)、経常利益40.10億円(同10.10億円増額、0.7%減)、税引利益29.61億円(7.61億円増額、12.7%増)と上振れ着地し、上期売上、営利利益とも連続過去最高を更新した。

 

 セグメント別では圧力計が売上高191.63億円(12.1%増)、営利16.43億円(56.6%増)に。全体の50割強を占める産機・プロセス向けが国内で好調に推移し102.45億円(13.3%増)、FA・空圧向けも国内が堅調で46.29億円(10.6%増)、半導体向けも国内中心にガス・薬液・純水などの圧力計測向けに好調で21.50億円(18.5%増)、電子部品向けも10.47億円(18.3%増)と好調。一方、空調管材向けは10.90億円(6.5%減)と唯一減少。利益面では増収効果に加えメンテナンス需要の伸びが高く、MIX良化から大幅増益に。なお受注は198.54億円(12.4%増)と好調を維持している。

 

 圧力センサは、売上高111.06億円(5.7%減)、営利24.18億円(1.3%増)に。全体の4割弱を占める産機・設備向けが31.12億円(4.2%減)と米国が堅調も国内が減少、半導体向けも38.98億円(5.2%減)、自動車向けは6.54億円(37.8%減)と生産調整等も有り大幅減に。一方、建機向けは19.68億円(3.1%増)と堅調に推移した。利益面では中国向けの減少、高付加価値製品が堅調でMIX良化し、円安も有り微増益を確保した。なお受注も108.04億円と横ばいを確保した。

 

 計測制御機器は売上高18.49億円(1.2%減)、営業損失0.19億円(1.51億円悪化し赤字転落)となった。医療器械の売上増加も生産自動化用の空気圧機器の売上が減少、自動車・電子部品向けのエアリークテスターも低調に推移した。利益面では金属材料及び電力等の価格高騰が影響した。

 

 ダイカストは売上高25.18億円(3.5%減)、営業損失1.03億円(2.05億円悪化し赤字転落)に。自動車業界が主で売上が減少、利益は金属材料及び電力料等の価格高騰が影響した。

 

 地域別動向では、日本が158.24億円(5.7%減)と産機、半導体、空調管材向け等の不調で減収に。輸出ではアジア向けが66.90億円(18.2%増)、中国向けに半導体関連の圧力センサなどが増加、米国も産機向けなどが伸び97.98億円(8.4%増)、欧州は25.58億円(12.7%減)と全般に不調。

 

 全体の利益の増減要因では主力の圧力計の増収効果が寄与、一方で原材料の高騰影響、人件費増などが嵩んだものの、MIX良化から総利益率が0.8ポイント向上し32.3%となり利益が上振れ。販管費が5.8%増加し販管費比率が0.4ポイント上昇したものの売上上振れ効果で営利減予想から増益を確保に。なお経常利益は期末が円高着地となった事もあり、上振れ着地も経常微減益に。

 

25/3期は4.1%増収8.4%営利増予想と上期一服、下期回復で緩やかな収益拡大想定

 

 25/3H1で収益の上振れ着地となったものの、下期に不確実要素が多く、25/3期予想を据え置き、売上高707億円(4.1%増)、営利77.5億円(8.4%増)、経常利益76億円(2.6%増)、税引利益55億円(1.7%増)と、4期連続最高収益予想も、緩やかな収益拡大を見込むとした。このため25/3H2は売上高350.69億円(同期比4.5%増)、営利37.56億円(同10.2%増)予想となる。

 

 セグメント別でも変更しておらず、25/3H2に圧力計が同期比1.2%減、一方で圧力センサが9.2%増予想となるなど、歪な数字となってしまう。このため、少なくとも期初想定並みの25/3H2収益は確保できるとみられ、会社予想を上回る収益が期待される。

 

 

 なお、現状は半導体関連について回復幅が高まるとみられる他、収益性の高い製品の拡大が続く見通しから、利益については1$=140円前提を据え置いており円安も寄与し、増益幅が拡大しよう。全体では経常利益も増益に転ずるとみられ、連続最高収益更新が期待される。

 

中期経営計画の26/3期売上高753億円、営業利益97億円は増額達成期待

 

 同社は新中期経営計画で26/3期に売上高753億円、営業利益97億円を経営目標としている。また成長戦略として2030年度には売上高1000億円を目指すとしている。基本方針として既存事業の競争力強化、グローバル戦略、経営基盤強化、新事業領域の拡大の4項目を挙げている。


 まず、既存事業の競争力強化においては特に圧力センサの強化に注力する。具体的には圧力センサの増強において、上田計測機器工場に分散していた工程を丸子電子機器工場に集約、主力のステンレス圧力センサを「加工⇒研磨」までの一貫生産工場とする。生産能力も現在フル生産となっている月産80万個体制を月産120万個体制に引上げる計画。生産効率も高め、生産開始を2025年夏としてスタートさせるとした。なお圧力センサ素子の更なる小型化も図り、高付加価値化も推進する。この他、自動車向けではFCEV向けの各種圧力センサについても採用車種の拡大が見込まれている。具体的には2020年12月より「第2世代MIRAI」に採用されていた圧力センサが新型クラウンFCEVモデルにも採用された。使用箇所は高圧水素タンク、発電装置のスタックへの水素圧力の監視機能を担っている。今後、FCEVは特にグローバルで商用車や大型車両中心に普及が高まる見通しで、これも丸子電子機器工場で一貫生産する。


 圧力センサでの最大のターゲットとしては半導体製造向けの拡大がある。同社製品は主に前工程で利用されているが、従来はドライ中心出会ったものが現在はウエット工程まで全て品揃えができている。ユーザーとしては国内、アジア地区はほぼ同社の圧力センサが使用されている。今後、国内で半導体新工場建設が相次ぐ中で、クリーンルーム室圧監視、ガス配管、超純水製造装置向け等、半導体工場建設に伴う各種圧力センサ、圧力計の取り込みが期待される。またガス圧力センサでは特殊ガス用の生産能力を大幅に引上げる。加えて純水、薬液用の新製品投入も強化している。半導体洗浄装置においてバッチ式から枚様式にシフト、様々な薬液供給がなされ、製造装置あたりの使用個数が拡大しており、新製品投入も強化、純水・薬液計測用圧力センサの生産能力も大幅に高める。またグローバル展開ではアシュクラフトブランドによる各種半導体向け製品の投入を本格展開、遅れている米国での大手半導体製造装置メーカー、半導体工場向けに本格的な拡販を行う。現在圧力センサの販売比率は国内では既に圧力計を上回り60%近くを占めているが、今後、海外での販売強化により全体でも圧力計と同額まで高める方針。その課程で圧力センサの成膜工程の能力増強も具体化するとしている。

 

 

 新事業領域については「光学式」圧力センサの開発が進んでいる。光学式によるセンシング技術を活用し、高温(400℃)環境で高精度に圧力を計測できる光。光干渉方式を用い、従来、高温環境計測で使用されてきた有害な水銀などの圧力伝達用封入液を使用せず、環境配慮製品となっている。 ステンレスなどの金属に比べダイアフラムの引張強度を4.5倍、耐摩耗性を10倍向上させている。 スタートとして樹脂を繊維にする工程で採用となったが、極低温下でも計測ができ、-253℃の液体水素の圧力計測にも成功、極低温での液体水素の貯蔵・輸送などでも高精度に計測できる耐圧防爆構造の圧力計測機器の製品化も2025年を目処に新製品投入を行う。もう一つの製品として、高精度圧力計測・制御機器の事業拡大がある。これは従来センサよりも高安定で優れた性能を持つMSセF.S+1digit:スケールの最大値の0.02%以内の誤差が許容される)(23±3℃)を有する計測機器「GC16」。これは高精度圧力センサ(≦±0.1%F.S.)の校正器としても利用可能。今後、水素、アンモニアなどの利用拡大に伴い、様々な計測に利用されるとみられる。

 

 

 このように、圧力センサの能力増、高付加価値化、グローバル展開などに加え新規事業領域での売上拡大も期待されることから、中計計画を上回る収益が期待される。

 

 株価は54/3期も緩やかながら連続最高益更新見通しとなり、7/9に3555円の年初来高値更新となり1999年3550円以来の高値を更新した。その後は半導体関連株の下落などで下落、8/5には2057円まで下落もその後は戻して2400円台中心に推移している。現状、25/3期会社予想EPS283.02円に対しPER8.5倍はプライム精密平均PER21.1倍に対し割安であり、今後も成長が続くと見られ、ポジティブ継続としたい。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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