三洋化成 バイオディーゼル燃料用低温流動性向上剤『ネオプルーバー』を開発
-バイオディーゼル燃料の品質向上と普及拡大に寄与-
三洋化成工業株式会社(本社:京都市東山区、代表取締役社長:樋口章憲)は、12月16日、バイオディーゼル燃料 の低温流動性向上剤『ネオプルーバー HBF-101』を開発したと発表した。
バイオディーゼル燃料は、植物や廃食油を原料とし、CO2 排出量が実質ゼロとみなされることから、カ ーボンニュートラルなエネルギー源とされている。しかし、軽油に比べ低温環境下では燃料の流れが悪くなりやすく、寒冷地での使用には対策が必要。
同社が開発した『ネオプルーバー HBF-101』は、バイオディーゼル燃料に添加することで低温流動性を改善し、寒冷地でのエンジントラブルを未然に防ぐという。これにより、地域を問わずバイオディーゼルの利用を促進し、CO2 排出削減が可能になる。
【研究の背景】 バイオディーゼル燃料は、植物油や廃食油を原料に製造されるディーゼルエンジン用のバイオ燃料。原料となる植物が成長過程で CO2 を取り込むため、燃焼時に排出される CO2 が相殺されるとみなされ、カーボンニュートラルなエネルギー源として注目されている。
現在、最も普及しているバイオディーゼル燃料は、植物油や廃食油をメタノールでエステル交換した脂肪酸メチルエステル(FAME:Fatty Acid Methyl Ester)だが、FAME 系バイオディーゼル燃料は軽油と異なる特性を持ち、軽油より流動点が高く低温環境で流動性が悪化するため、寒冷地で使用した場 合にはフィルターやポンプの目詰まりを引き起こす可能性があった。この課題が、高濃度での使用を 制限する要因の一つとなっている※。
※ 日本国内では、バイオディーゼル燃料を軽油に5%混合したB5燃料として使用することが標準となっている。一方で、より高濃度もしくは 100%で使用する場合は、空港や自治体の管理区域内など限定された管理エリア内で適切に対策された特定の車両に限られている。
【技術の概要】
『ネオプルーバー HBF-101』は、バイオディーゼル燃料に添加することで低温流動性の指標である「目詰まり点(CFPP: Cold Filter Plugging Point)」を低下させる効果が確認されており、低温流動性を大幅に改善する。
また、同品は、大豆油、パーム油、菜種油、廃食用油など、さまざまな原料から製造されるバイオディー ゼル燃料に対して安定した効果を発揮する。
これらの特性により、バイオディーゼル燃料の地域や供給元を問わず、寒冷地や冬季での利用を可能にする。
<『ネオプルーバー HBF-101』により期待される効果>
以下の効果が見込まれ、『ネオプルーバー HBF-101』はバイオディーゼル燃料の普及を促進し、脱炭素社会の実現に寄与することが期待される。
1) 寒冷地での燃料性能向上: 燃料の流動性を維持し、車両や機械の安定稼働を支援。
2) メンテナンスコストの削減: フィルターやポンプの目詰まりを防ぎ、エンジントラブルを抑制。
3) 利用地域の拡大: 寒冷地でもバイオディーゼル燃料の使用が可能になり、地域ごとに異なる原料の性状に応じた個別の対策を取る必要が減り、効率的で一貫した運用ができるようになる。
(IR universe rr)
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