“ごみゼロ社会は実現できるか!社会問題に切り込む名著
今から30年前日本は戦後急速な産業の発展の結果、作っては捨てる事に終始して、リサイクルの言葉も有りませんでした。経済界は環境問題の意識すら希薄でした。環境は経済に反するとまで、経済界のリーダは公言しておりました。
狭い国土で焼却と埋め立てが横行した結果、埋め立てる場所は限界を迎え、香川県豊島など各地で違法投棄が土壌や河川の環境問題が多発しました。それから30年経ち、日本エネルギー学会編“ごみゼロ社会は実現できるか”コロナ社が元川鉄の鉄鋼マン・中部大学教授の行本正雄さん、前産総研・現㈱AIST Solutionsの環境社会政治学の西哲夫さん及び富山県立大学工学部准教授の立田真文さんの共著で2023年4刷改訂版が発行されました。
哲学上の理念が希薄な日本の法制度では環境法などは、環境理念がぼやけ、対処法の規制ばかりが記載されてその上、法を制定後のチェック機能とフィーバックが明確でないと言うが、ドイツの環境法と日本の環境法との違いだと評価して呉れたのが西さんの30年前に評価でした。
改定版の内容を見るとその様な日本も狭い国土埋め立てに頼る時代が漸く過ぎて高度な発達を遂げて来たと思います。特に国や自治体の環境対策の歴史から環境技術の詳細まで詳しく記載され、2006年の初版から長い時間を経て未だ尚読者が多数存在している著作も大変貴重であります。
筆者が資源リサイクルへ関わったのは今から32年前で、勤務していた非鉄金属製錬会社の研究開発部門へ異動した事が契機でした。同じ時期には国内の僻地へ自動車廃棄物のプラスチックと金属の混合物を大量に埋め立てられ、かつ違法な埋め立て処分が横行して、社会問題が各地で起こっておりました。
しかし自動車リサイクルはその後高度な分別技術と装置を備えて発展を遂げ、現在はプラスチック廃棄物が鉄鋼生産の代替燃料として、注目される時代となって居ります。
(IRuniverse Katagiri)
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