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大平洋金属:25/3期3Q決算発表し、会社見通しを修正

 2月7日15時半、大平洋金属は、25/3期3Qの決算を発表。通期見通しを修正した。なお、3Q決算のため説明会・決算補足資料はない。

 

<25/3期3Q実績>

〇環境

 売上高並びに損益の大半を占めるニッケル事業の主需要先であるステンレス鋼業界は、中国では不動産市場の停滞に伴い建築需要等が減退する中で高水準の生産が継続しており、余剰在庫は国外へ輸出され各国内の市況に影響が見られており、また、生産設備の稼働率は総じてばらつきがあり、盛り上がりを欠く推移となった。

 

 フェロニッケル需要は、前述の環境に加え、海外ステンレス生産者は価格優位性の見られるニッケル銑鉄へ一部調達をシフトしており、また、カーボンニュートラルを意識したステンレススクラップ配合比率見直しも見られ、鈍化傾向の推移となった。

 

 調達面では、フェロニッケル製品の主原料であるニッケル鉱石の価格は底堅いニッケル鉱石需要等を背景に価格高であり、また、世界的な資源高により諸原燃料価格は高水準にあり、生産コストは高止まりが継続した。

 

 LMEニッケル価格は、中国景気の鈍化、外国為替相場や金融資本市場の変動及び中東やウクライナ情勢の緊迫化、また、ニューカレドニアで発生した暴動に伴うニッケル鉱石の供給懸念等、複合的な要因が意識され、比較的上下動の激しい推移となった。

 

〇3Q実績

 同社のフェロニッケル販売数量は、前述した価格優位性の見られるニッケル銑鉄の価格が同社の販売価格へも影響することから一定の収益性を損なわない戦略的な数量抑制方針を継続したため、前年同期比1.1%減となった。フェロニッケル生産数量は、販売数量抑制方針であるため、前年同期比減少した。

 フェロニッケル製品の販売価格は、同社適用平均為替レートは同6.3%の円安の一方で同社適用LMEニッケル価格は同23.2%下落し、また、同社適用価格相場に加えて、ニッケル銑鉄の価格も一部参考としたことから従来と比べ販売価格安となり、収入が伸び悩む厳しい販売環境が継続した。

 このように、厳しい事業環境の中、採算性重視の受注を徹底、臨機応変な生産販売体制の構築、コストミニマムを追求するための業務効率改善の強化等に努めた。収益基盤の再構築を企図した取り組みでは、海外企業と共同で海底資源から電池用金属材料及び製鋼原料を製造する事業のフィジビリティスタディを進めており、加えて青森県内企業中心に推進するベリリウム製造販売の事業化に向けて同社工場のリソースを最大限に活用する包括的業務提携の締結、また、LiB関連の研究開発等を積極的に進め、新規事業立ち上げの早期実現を目指しており、GHG排出量低減に関するカーボンニュートラルの取り組みを含め、業績の底上げ及び収益安定化に向けた取り組みを継続。

 

 この結果、売上高が107億円、同10.2%減となった。損益面では、棚卸資産簿価切下げ額の戻入れを計上したことにより売上原価は減少したが減収の影響が大きく営業損失は▲66.2億円(同▲82.3億円)、営業外収益へ計上した持分法による投資利益37.6億円(主にフィリピンの持分法適用関連会社)等を含めた経常損失は▲20.7億円(同▲30.9億円)、当期損失▲17.6億円(同▲19.6億円)となった。

 

図表1、25/3期3Q実績(百万円、%)

出所:会社発表資料よりIRU作成

 

<25/3期予想>

〇通期業績予想

 数量面については環境に大きな変化は見られず、収益性の観点から数量抑制の方針を継続しており、前回公表計画から減少を見込む。損益について、フェロニッケル製品の販売価格面では、同社適用価格相場に加えてニッケル銑鉄の価格も一部参考とした価格水準のため収入は一定程度抑えられ、また、調達価格面では、主原料であるニッケル鉱石価格及び原燃料や電力の価格は引き続き高水準であるため、価格面で大きな影響を与えることが見込まれる。

 

図表2、25/3期業績予想(百万円、トン、ドル/ポンド、円/ドル、円/株)

出所:会社発表資料よりIRU作成

 

<参考>

図表3、四半期別の業績推移(百万円、%)

出所:会社発表資料よりIRU作成

 

 

(IRuniverse 井上 康)

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