日本トムソン(6480) 25/3Q3決算メモ 再減額でややポジティブからニュートラルへ
25/3Q3不振継続で0.5%減収、営業赤字転落、25/3期再減額2.8%減収58.9%営利減予想
株価487円(2/14) 時価総額361億円 発行済株73501千株
PER(25/3DO予37.7倍)PBR(0.45X)配当25/3期予19円 配当利回り:3.9%
・25/3Q3不振継続、在外子会社の棚卸資産の未実現利益消去で0.5%減収、営業赤字転落
・25/3期半導体製造装置等の回復遅れ、2.8%減収58.9%営利減に再々減額修正
・中計2026で25/3期~27/3期平均の営利90億円目標達成はハードル高く見直し必至
25/3Q3不振継続、在外子会社の棚卸資産の未実現利益消去で0.5%減収、営業赤字転落
直線運動用軸受大手で半導体製造装置、電子部品実装装置向け等に強味。2/10に25/3Q3決算が開示され、売上高135.84億円(同期比0.5%減、Q2比0.8%減)、営業損失2.92億円(同期比12.87億円悪化し赤字転落、Q2比14.25億円減で赤字転落)、経常利益4.44億円(同期比49.6%、Q2比52.6%増)、税引利益0.84億円(同期比87.7%減、Q2比65.4%減)と一段の収益低迷となった。但し受注に関しては137.14億円(同期比27.4%増、Q25.8%増)と回復が認められる。
地域別で米州が21.59億円(同期比61.5%増)と半導体製造装置、ロボット向けなどが好調、中国も17.82億円(9.1%増)に。一方、欧州が16.9%減と医療機器向けなどが低調、その他アジアはシンガポール、マレーシア、インドなどが振るわず32.7%減と大幅減に。
業界別では直販分が72.32億円(3.0%減)で、エレクトロニクス向けが25.25億円(14.8%増)と半導体製造装置向けなどが好調、一方でその他一般機械が35.05億円(11.8%減)と油圧や精密機械向けが冷え込んだ。市販・外国代理店向けは63.52億円(2.4%増)と米国などの伸び、円安も寄与、市販は在庫調整の遅れで低迷した模様。
利益面では同期比で円安効果縮小から4.12億円減益、売上減で0.88億円、操業度低下などで5.36億円、販管費増2.51億円など、トータル12.87億円減で営業赤字に転落することとなった。
25/3期半導体製造装置等の回復遅れ、2.8%減収58.9%営利減に再々減額修正
25/3Q3累計で11/11時点の25/3期減額修正予想に対する進捗率は売上高で73.3%、営業利益では35%、経常利益でも55.1%に止まっており、Q4の回復も限定的として25/3期会社予想を再々減額修正した。25/3期を売上高535億円(11/11計画比15億円減額、2.8%減)、営利13億円(同13億円減額、58.9%減)、経常利益17億円(同11億円減額、62.4%減)、税引利益は有価証券売却などで補い9億円(同変更なし、66.3%減)予想とした。
地域別では日本が266億円(同8億円減額、0.4%減)と一般機械、工作機械向けなど低調で半導体向け堅調も微減収予想。海外は米国が88億円(同1億円減額、5.8%増)と医療、ロボット、半導体製造装置向けなど総じて堅調で円安も寄与し増収確保見通し。中国は70億円(同変更なし、2.4%減)と下期回復基調も年度では減収予想に。欧州は59億円(同4億円減額、13.2%減)と期を追うごとに悪化、中国除くアジアも52億円(同2億円減額、13.2%減)など停滞見通し。
仕向先予想の開示はないが、半導体製造装置、電子部品実装機の受注回復が表れつつあるが、工作機械向けなど回復遅れ見通しで本格回復は来期にずれ込む見通し。
利益面では売上減額による操業度悪化による固定費負担増に加え、想定以上の円安から在外子会社の棚卸資産の未実現利益消去が多額となる見通しもあり、大幅な再減額となった。税引利益については政策保有株式の売却により11/11の減額修正予想並みを確保するとした。
現状、受注は回復しているものの、まだ水準的にはピーク時22/3Q4の半分強でしかない。しかも棚卸回転月数に大きな改善がなされておらず、減産継続が必要とみられ、会社減額修正並みの収益に止まるとみられる。
中計2026で25/3期~27/3期平均の営利90億円目標達成はハードル高く見直し必至
同社は中計2026を策定、3カ年平均営業利益90億円目標、期間中に23/3期営利94.59億円超え達成を掲げ、ROE8.0%を目標とした。
現状、半導体生産の回復が想定よりも遅く、工作機械なども受注回復が遅れている。また中国経済の不透明感も増しており、25/3期の再々減額修正となった。今後、中国などでも競争激化から収益性の回復が従来のように進まない可能性もある。同業のTHKも新中計で直線運動用軸受の成長性を見直すなど動きがあり、中計見通しは達成が難しい状況に陥っている。26/3期は半導体産業がAI中心に拡大が見込まれるものの、中計達成の見直しが必要となろう
株価は業績低迷を受けて下落、再減額予想と類似企業のTHKも24/12期0.2%、26.8%営利減で着地、26/12期経営目標5000億円を削除、25/12期3.0%増収35.5%営利増予想をアナウンスも冴えない状況が続いている。現在25/3期会社再々減額修正予想EPS13.04円に対しPER34.7倍、しかも適正税率で見た場合さらに高PERとなり、プライム機械平均PER16.8倍に対し割高、THK23.8倍と比較しても割高となっている。但し同社はPBRが0.45倍、配当利回り3.9%予想となり、下値には抵抗感がある。26/3期は半導体製造装置向けなどの拡大で収益回復が見込まれるが割高感は免れず、ややポジティブからニュートラルに変更したい。
(H.Mirai)
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