2025年1月 鉄鋼生産概況(速報) 2024暦年(確定版)
2025年2月21日、(一社)日本鉄鋼連盟が2025年1月の鉄鋼生産概況(速報)及び2024年12月実績を発表した。
これにより2024暦年実績を確定した。2024暦年の粗鋼生産量は、8,400.89万トンとなり、2023暦年(8,700.08万トン)比3.4 %減となり、3年連続の減少となった。
2025年1月の粗鋼生産(速報)は678.7万トンと12月実績(690.71万トン)比1.7 %増、前年同月(698.31万トン)比では6.6 %減となり、前年同月比では11か月連続で減少し、1月の1日当たりの粗鋼生産量は21.9万トンとなり、12月実績の22.3万トン比では1.7 %減の見通しとなった。
表1に、2025年1月(速報)及び2024年12月(確定)の全国鉄鋼生産高を示す。
表1 全国粗鋼生産高
2024年12月(確定):前月速報値から修正された部分(黄色マーカー部)
≪全国鉄鋼生産高 2025年12月(実績)≫
○ 銑鉄生産は517.2万トンと前月比3.2 %増、前年同月比2.1 %増となり、前年同月比では10か月ぶりに増加した。
○ 粗鋼生産は690.7万トンと前月比0.3 %増、前年同月比1.1 %減となり、前年同月比では10か月連続の減少となった。12月の1日当たり粗鋼生産は22.3万トンで、11月の同23.0万トン比2.9 %減となる。
○ 炉別生産では、転炉鋼が521.9万トンと前月比2.5 %増、前年同月比1.7%%増、電炉鋼が168.8万トンと前月比6.1 %減、前年同月比8.9 %減となり、前年同月比では転炉鋼は10か月ぶりの増加、電炉鋼は5か月連続の減少となった。
○ 鋼種別生産では、 普通鋼が539.2万トンと前月比1.5 %増、前年同月比1.1 %減、特殊鋼が151.5万トンと前月比3.8 %減、前年同月比1.1 %減となり、前年同月比では普通鋼は10か月連続の減少、特殊鋼は10か月連続の減少となった。
○ 熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は615.8万トンと前月比2.2 %増、前年同月比1.0 %増となり、前年同月比では10か月ぶりに増加した。
○ 普通鋼熱間圧延鋼材の生産は488.2万トンと前月比3.2 %増、前年同月比1.1%増となり、前年同月比では10か月ぶりに増加した。
○ 特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は127.6万トンと前月比1.1%減、前年同月比0.8 %増となり、前年同月比では10か月ぶりに増加した。
上記2024年12月実績により、2025年1月25日の鉄鋼連盟発表を筆者が修正し、下記表2に示す。修正はわずかであり、前年同期比率を変化させるほどではないが、確定版として示す。
表2 鉄鋼生産高(2024暦年 確定版)
2024年12月(確定)により、筆者が修正した部分(黄色マーカー部)
2023暦年粗鋼生産量は8,700.08万トンと、2022暦年粗鋼生産量(8,922.68万トン)比2.5 %減。2年連続で9,000万トン割れとなった。
2024暦年の粗鋼生産量は、8,400.89万トンと、2023暦年(8,700.08万トン)比3.4 %減となり、3年連続で8,000万トン台となった。
2021暦年(9,633.60万トン)比では、12.8 %減となった。
<2024暦年確定>
○ 銑鉄生産は6,102.6万トンと前暦年(6,304.2万トン)比3.2 %減、3年連続の減少となった。
○ 粗鋼生産は8,400.89万トンと前暦年(8,700.1万トン)比3.4 %減、3年連続の減少となった。
炉別生産では、転炉鋼が6,195.71万トン[前暦年(6,416.66万トン)比3.4 %減]、電炉鋼が2,205.18万トン[同(2,283.42万トン)比3.4%減]となり、前年比では転炉鋼、電炉鋼ともに3年連続の減少となった。
粗鋼合計に占める電炉鋼比率は26.2 %と前年から横ばい。
鋼種別では普通鋼が6,529.97万トン[前年(6,753.29)比3.3 %減]、特殊鋼が1,870.91万トン[同(1,946.79万トン)比3.9 %減]となり、前年比では普通鋼、特殊鋼ともに3年連続で減少。
○ 熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は7,416.56万トンと前年(7,704.03万トン)比3.9 %減、3年連続で減少。
鋼種別にみると、普通鋼が5,882.54万トン[前暦年(6,116.88万トン)比3.8 %減]、特殊鋼は1,534.03万トン[同(1,587.15万トン)3.3 %減]となり、前暦年比では普通鋼、特殊鋼ともに3年連続で減少。
<経産省の見通し>
2024年12月26日に経産省が、発表した2024年度第四半期(2025年1-3月期)鋼材需要見通しでは、粗鋼生産の推移を下記とした。
経産省の2024年度第3四半期見込みでは、粗鋼生産量を2,094.9万トンとし、暦年では8423.8万トンとしていた。
2024年10-12(実績)では、2,072 万トンと実績見込み比1.1 %減となり、2024暦年(確定は)8,400.89万トンとなった。
図1に銑鉄、粗鋼、熱間圧延鋼材の暦年生産量推移を示す。
図1 銑鉄、粗鋼、熱間圧延鋼材の暦年生産量推移を示す。
2024暦年の銑鉄の生産量は6,102.6万トンとなり、コロナ禍の2020暦年(6160.6万トン)を下回った。
鉄鋼連盟が2025年2月21日に発表した2025年1月鉄鋼生産概況(速報)は下記のとおりである。
≪全国鉄鋼生産高 2025年1月(速報)≫
○ 銑鉄生産は507.5万トンと前月比1.9 %減、前年同月比5.0 %減となり、前年同月比では2か月ぶりに減少する見通し。
○ 粗鋼生産は678.7万トンと前月比1.7 %減、前年同月比6.6 %減となり、前年同月比では11か月連続の減少となり、1月の1日当たり粗鋼生産は21.9万トンで、12月の同22.3万トン比1.7 %減となる見通し。
○ 炉別生産では、転炉鋼が514.6万トンと前月比1.4 %減、前年同月比5.2 %減、電炉鋼が164.1万トンと前月比2.8 %減、前年同月比10.7 %減となり、前年同月比では転炉鋼は2か月ぶりの減少、電炉鋼は6カ月連続で減少する見通し。
○ 鋼種別生産では、 普通鋼が525.2万トンと前月比2.6 %減、前年同月比6.1 %減、特殊鋼が153.5万トンと前月比1.3 %増、前年同月比8.1 %減となり、前年同月比では普通鋼は11か月連続の減少、特殊鋼は11か月連続で減少する見通し。
○ 熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は607.1万トンと前月比1.4 %減、前年同月比5.3 %減となり、前年同月比では2か月ぶりに減少する見通し。
○ 普通鋼熱間圧延鋼材の生産は478.5万トンと前月比2.0 %減、前年同月比5.9 %減となり、前年同月比では2か月ぶりに減少する見通し。
○ 特殊鋼熱間圧延鋼材の生産は128.6万トンと前月比0.8%増、前年同月比2.8 %減となり、前年同月比では2か月ぶりに減少する見通し。
<銑鉄及び粗鋼生産高推移>
図2に、1925年~2024年12月(実績)までの銑鉄及び粗鋼生産推移(昭和1年~令和5年度は月換算)を示す。
図2 銑鉄及び粗鋼生産推移 2023年11月(実績)まで[昭和1年~令和5年度(確定)は月換算]
<銑鉄>
2023年度第3四半期(10~12月期)の銑鉄生産高は1,505.0万トンと前年同期(1,574.2万トン)比1.3 %増。月換算値では531.7万トン。
2024年度第3四半期の銑鉄生産高は1,526.0万トンと前年同期比1.6 %減。月換算値では508.7万トン。前年同期の月換算値より約28万トン減少した。
<粗鋼生産>
2023年度第3四半期の粗鋼生産高は、2,160.5万トンと前年同期(2,142.1万トン)比0.9 %増だった。月換算値では720.2万トン
2024年度第3四半期の粗鋼生産高は、2,072.0万トンと前年同期比4.1 %減となった。月換算値では690.7万トン。前年同期の月換算値より約30万トン減少した。
・転炉生産高
2023年第3四半期の転炉鋼生産高は、1,569.4万トンと前年同期(1,555.1万トン)比0.9 %増だった。月換算値では523.1万トン
2024年第3四半期の転炉鋼生産高は、1,541万トンと前年同期比1.8 %減となった。月換算値では513.7万トン。約9.5万トン減少した。
・電炉生産高
2023年第3四半期の電炉鋼生産高は、591.1万トンと前年同期(585.8万トン)比0.9 %増だった。月換算値では197万トン
2024年第3四半期の電炉鋼生産高は、531万トンと前年同期比10.2 %減となった。月換算値では177万トン。約20万トン減少した。
図3には、平成17年度からの銑鉄、粗鋼、熱間圧延鋼材の月別生産高推移(平成17年~令和5年度実績は月換算)を示す。
図3 銑鉄、粗鋼、熱間圧延鋼材の月別生産高推移(平成17年度~令和5年度実績は月換算)
図3に示すように、電炉比(濃青 折れ線 右軸)は、2022年1月は25.0 %を下回ったが、6月に28.8%と最高値を示した。夏季定修の8月は24 %台に減少したものの、その後は約28 %台を推移した。2023年1月13日にJFE-Sの第6高炉が火入れにより稼働を再開し、2月以降は約2 %減となり、2023年8月は、電炉の夏季定修もあり、電炉比は22.9 %に落ち込んだが、11月には、28.4 %まで上昇した。28 %台となるのは、2022年9月以来である。
2023年12月~2024年1月は、電炉の冬季定修もあり再び26.6 %~25.3 %まで減少した。
2月から上昇し、3月は28 %を、4月及び6月は27 %を上回ったが、夏季定修のあった7月は再び27 %を下回った。8月も定期定修により22.8 %まで減少した。
9月は27.6%と27 %超えに回復したが10月、11月は再び26 %台となり、冬季定修の12月は24%となった。
表3に比較データ 粗鋼炉別構成比を示す。
表3 粗鋼炉別構成比推移
・鋼種別粗鋼生産高
2023年度第3四半期の普通鋼合計は、1,667.9万トンと前年同期(1,664.7万トン)比0.2 %増だった。
2023年度第3四半期の特殊鋼合計は、492.6万トンと前年同期(476.3万トン)比3.4 %増だった。
2024年度第3四半期の普通鋼合計は、1,603.2万トンと前年同期比3.9減 %となった。
2023年度第3四半期の特殊鋼合計は、468.7万トンと前年同期比4.9 %減となった。
図4に2019年1月からの、銑鉄、粗鋼及び熱間圧延鋼材の月別推移を示す。
図4 銑鉄、粗鋼及び熱間圧延鋼材の生産高推移 月別実績(2024年12月確定迄)
表4に比較データ 2024年12月(確定)までの粗鋼生産高月換算値推移示す。
表4 比較データ <2018年度~2024年度12月確定 粗鋼生産量:月換算>
(IRUNIVERSE tetsukoFY)
関連記事
- 2025/05/01 鉄鋼需給(25年3月)
- 2025/05/01 輸出鋼材のスプレッド(25年3月):スプレッドまちまち
- 2025/05/01 日中ホットコイル輸出価格比較(25年3月):価格差縮小
- 2025/05/01 日本製鉄:AM/NS CalvertとAM/NS Indiaの25/12期1Q業績を発表
- 2025/05/01 元鉄鋼マンのつぶやき#102 受け皿としての大学、旗振り役としての大学
- 2025/04/30 共英製鋼:25/3期の決算説明会を開催(26/3期業績予想)
- 2025/04/30 共英製鋼:25/3期の決算説明会を開催(25/3期実績)
- 2025/04/30 欧州からの風:2025 April「EU使用済自動車規則案:揉めるプラスチック再生材含有ターゲットの行方は?」
- 2025/04/30 大和工業:25/3期は減収減益となったが、26/3期は減収経常増益へ
- 2025/04/30 中国鉄鋼PMI:4月は鉄鋼は3ヵ月連続上昇、新規受注は2ヵ月連続上昇