4月の世界経済 不透明感強く荒い動き・江守氏 銅8000ドル割れ、円140円程度か
4月の世界経済は大恐慌の様相で始まった。トランプ米政権が4月2日に相互関税を発表してからで世界経済の悪化懸念が強まり、株や金属相場といったリスク資産から投資資金が逃げ出している。エモリファンドマネジメントの江守哲・代表取締役兼最高経営責任者(CEO)は「月内は不透明感が強く、荒い動きも予想される」と話す。
■銅価格、心理悪化でスパイラル下落も
銅価格はロンドン金属取引所(LME)での3か月先物が4月4日に$8900/tonと前日比5.7%下落した。相互関税が発表になった4月2日からでは8.2%、3月24日に付けた直近高値($1万28)からでは11.2%と、実に2週間で1割下げた。
江守氏は「市場心理が非常に悪くなっているので、スパイラル的にどんどん下落する可能性が高い。銅価格は$8000割れもおかしくない」と話した。
過去6か月間のLME銅価格の推移($/ton)
アルミなどの他の金属もおおむね銅の動きに追随している。銅やアルミは中国需要が大きく、中国経済との関連性も高いが、江守氏は「実需で価格が動いている局面ではないので、中国景気に多少好材料が出ても反応しづらいだろう」と指摘。「損切りは進んでいるが、一部の市場関係者は『売りたくなくても売らなければならない』状況に追い込まれる可能性もある」と危惧した。
過去6か月間のLMEアルミ価格の推移($/ton)
■株暴落、原油60ドル割れ
リスク資産の代表である株式と原油の反応も苛烈だ。日経平均株価は4月7日に前週末比2644円(7.8%)安の3万1136円で終えた。下げ幅は一時2900円に達し、終値ベースでも歴代3位の大きさとなった。4月4日の米株式市場では、ダウ工業株30種平均が5.5%下げていた。
一方、原油先物相場は日本時間7日午前の取引で、米国産標準油種(WTI)の5月渡しが一時、節目の1バレル=60ドルを下回った。60ドル割れは2021年4月以来約4年ぶりだった。
過去6か月間のNY原油価格の推移(WTI)($/barrel)
■安全資産は下値堅い、円は自身に魅力薄
一方、リスクオフ局面で恩恵を受けるとされる金と日本円も、心理悪化のダメージを受けた。NY金先物相場は4月4日に$3035.4/tozと前日比2.8%下げた。4月2日からの下落率は4%。ただ、4月2日に付けた$3166は過去最高値で、ムード悪化をきっかけとした利益確定売りの様相が強い。金は基本的には悪材料は少なく、下落率も同に比べれば穏やかだった。下値は比較的堅いと言えるだろう。
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円も安全資産の1つとされ、足元では上昇している。4月7日は一時1ドル=145円台後半に上げた。江守氏は「これまでドル高が行き過ぎていたので、ドルに調整が入ってドル安となっている」と分析する。「円高は日本円自体に魅力があって進んでいるわけではないので、4月中は上げても140円ちょうど程度がせいぜいではないか」として、急激に円高に振れる可能性は低いとの見方を示した。
過去6か月間のNY金価格とドル円相場の推移($/toz)(JPY/$)
(IR Universe Kure)
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