2024年度 鉄鋼輸出実績概況
2025年4月28日、一般社団法人日本鉄鋼連盟が、2024年度の鉄鋼輸出実績概況を発表した。
輸出環境が厳しさをまず中、鉄鋼輸出量は減少基調にあり、2024年度の全鉄鋼輸出量は、前年比2.3 %減と2年ぶりの減少となった。仕向け先では、韓国、中国向けが減少する中、EU向けも減少。一方、インド向けは2023年度から増加している。
2024年度の海外鉄鋼市場は総じて停滞。中国は内需改善がみられないなか、輸出が高水準で推移した。このような背景下、2024暦年の鉄鋼製品への新規AD調査開始件数は41件(うち中国を含む調査開始件数30件)に及び、2025暦年は4月時点では既に8件(うち、中国を含むものは8件)となった。
<2024年度鉄鋼輸出実績概況>
2024年度の鉄鋼輸出実績(全鉄鋼ベース)は3,166 万6,459 トンで、前年度(3,241万6,259トン)比2.3 %減、2年ぶりの減少となった。
2024年度の半製品の輸出量は319万8,194トンで2023年度(312万5,753トン)比2.3 %増と2年連続の増加で増加したものの、3年連続で350万トンを下回った。
普通鋼鋼材輸出は2,185万4,276トンで、前年度(2,230万9,484トン)比2.0 %減、2年ぶりの減少。
主要品種別では、
熱延広幅帯鋼(1,188万9,516トン、前年度比1.7 %減)が4年ぶり、
亜鉛めっき鋼板(203万3,197トン、同3.3 %減)が2年ぶり、
冷延広幅帯鋼(146万2,009トン、同4.4 %減)が3年連続の減少となった。
一方、厚板(284万604トン、同0.8 %増)が2年ぶりに増加した。
仕向け先別(全鉄鋼ベース)では、
韓国(445万トン、同17.6 %減)が2年連続、
タイ(424万トン、同5.9 %減)が3年連続、
中国(257万トン、同10.3 %減)が4年連続、
米国(116万トン、同6.4 %減)が2年連続の減少となった。
一方、台湾(193万トン、同20.5 %増)が7年ぶりの増加となった。
<2024年度鉄鋼輸出実績概況 年度推移:図1>
図1に、全鉄鋼・半製品・熱延広幅帯鋼の暦年輸出量及び金額(円ベース)の年度推移を示す。
2024年度の鉄鋼輸出実績(全鉄鋼ベース)は3,166 万6,459 トンで、前年度(3,241万6,259トン)比2.3 %減と、2年ぶりの減少となった。2020年度の3,115万9,365トンは上回った。
金額(円ベース)では4兆6,865億円となり、2023年度(4兆8,588億円)比3.6 %減と2年連続で減少した。
2022年度は、2000年度以降で最高の5兆870億円と5兆超えであった。
図1 全鉄鋼・半製品・熱延広幅帯鋼の暦年輸出量及び金額(円ベース)の推移
(一般社団法人 日本鉄鋼連盟 鉄鋼統計要覧及び鉄鋼需給の動きより作成)
2024年度の半製品の輸出量は319万8,194トンで2023年度(312万5,753トン)比2.3 %増と2年連続の増加で増加したものの、3年連続で350万トンを下回った。
2024年度の熱延広幅帯鋼の輸出量は1,188万9,516トンで2023年度(1,210万782トン)比1.8 %減と2年ぶりの減少となった。2000年度以降で過去最高は2015年度の1,326万7千トンであった。
<仕向け先別(全鉄鋼ベース)>
図2には、仕向け先別(全鉄鋼ベース)の年度輸出量推移を示す。
2024年度、仕分け先別では
韓国[444万9,067トン、2023年度(539万9,707トン)比17.6 %減]が2年連続、
タイ[423万6,066トン、同(450万2,899トン)比5.9 %減]が3年連続、
中国[257万87トン、同(288万6,349トン)比10.3 %減]が4年連続、
米国[116万1,173トン、同(124万1,052トン)比6.4 %減]が2年連続
EU[119万862トン、同(194万7,158トン)比38.8 %減]が2年ぶりの減少、
の減少となった。
一方、
台湾[192万9,377トン、同(160万1,135トン)11.2 %増]が7年ぶり、
中南米計[384万1,050トン、同(358万7,981トン)20.5 %増]が2年連続、
カナダ[14万3,985トン、同(9万9,686トン)比44.4 %増]が2年ぶり、
の増加となった。
その他では、中国を除く東南アジア向け(ベトナム、シンガポール、フィリピン、インドネシア、インド、パキスタン及びバングラディシュ)、アラブ首長国連邦及、英国、ノルウェー、コロンビア及びアフリカ向けが増加した。
インド向けは、189万1,632トンと2023年度(146万3,881トン)比29.2 %増と2年連続で増加した。2022年度(95万7,485トン)比では、97.6 %増と約2倍となった。
図2 仕向け先別(全鉄鋼ベース)の年度輸出量推移
<主要品種別>
普通鋼鋼材輸出は2,185万4,276トンで、前年度(2,230万9,484トン)比2.0 %減、2年ぶりの減少となった。
主要品種別では、
熱延広幅帯鋼[1,188万9,516トン、2023年度(1,210万782トン)比1.7 %減]が4年ぶり、
亜鉛めっき鋼板[203万3,197トン、同(210万2,078トン)比3.3 %減]が2年ぶり、
冷延広幅帯鋼[146万2,009、同(152万9,889トン)比4.4 %減]が3年連続
の減少となった。
一方。厚板[284万604トン、同(281万7,824トン)比0.8 %増]が2年ぶりに増加した。
図3に主要品種別(厚板・冷延広幅帯鋼・亜鉛めっき鋼板・熱延広幅帯鋼)の年度輸出量推移を示す。
図3 主要品種別(厚板・冷延広幅帯鋼・亜鉛めっき鋼板・熱延広幅帯鋼)の年度輸出量推移
表1に鉄鋼輸出入概況 2024年計(2024年度)分 輸出(仕向け国:世界計)を示す。
表1 鉄鋼輸出入実績概況:輸出
水色マーカー:2024年度輸出数量が2023年度を上回り、しかも金額(円ベース)が増加した品種:銑鉄、鋼塊、半製品、普通鋼鋼材(鋼矢板、線材、中板、電気鋼板、ブリキ、ティンフリー及びその他表面処理鋼板)及び特殊鋼鋼材(ステンレス鋼)
(IRUNIVERSE tetsukoFY)
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