ユミコア社、機能性・ポリマー・医薬品など均一触媒の生産拡大へ
ユミコア社は2025年5月13日、米国での触媒事業を拡大する方針を発表した。ユミコアは、米国オクラホマ州カトゥーサの拠点で均一触媒の生産を拡大する考えだ。事業拡大により、欧州と米国の両方から数トンの原材料の供給を確保し、特殊化学品業界の大手企業との長期パートナーシップ契約の履行が可能となるという。
今回の生産拡大では、既存の超近代的なカトゥーサ施設に追加の施設を建設する計画だ。建設は2025年にスタートし、2027年初旬に生産開始予定。
均一触媒は、化学反応の変換を可能にし、反応物と同じ液相にある物質。これにより均一に混合することができ、穏やかな条件下で選択性の高い反応が可能になる。
ユミコアの触媒事業グループ担当エグゼクティブバイスプレジデントのジェンセン・ヴェルヘレ氏は「米国における今回の拡張プロジェクトは、ユミコアの触媒事業にとって大きな節目となります。2大陸に2つの大規模工場を保有し、クラス最高の触媒技術と卓越した生産プロセスを組み合わせることで、効率的で持続可能な、より短いサプライチェーンをお客様に提供します」と述べている。
ユミコアは、先端材料とリサイクルに積極的に取り組む世界的なグループ。材料科学、冶金学、化学、金属管理の分野で数十年にわたる経験を活かし、貴金属や重要な金属を日常の用途に適した機能的なテクノロジーに変換している。
また、1万1500 人以上の従業員が在籍するユミコア社は、世界中の顧客に最高のサービスを提供するために、産業、商業、研究開発活動を世界中に展開。 2024年のグループ収益(金属を除く)は35億ユーロ(売上高149億ユーロ)に達した。
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現時点ではトランプ大統領が発信する情報で世界はてんやわんやである。しかし長年にわたり、欧州企業は米国と密接な関係を構築してきた。それが米欧州の企業とそれ以外の世界の企業には大きな脅威でもあった。
しかしそんな密接な関係が再破壊される時代になって一体何を基盤に事業の再編を行えば良いのだろうか。そんな混沌に中でユミコアは新たな戦略を打ち出した。この挑戦は我々アジア圏に参考になるだろうか。
(IRUNIVERSE 片桐)
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