米アップルは7月15日、自社ホームページ上で、「米資源大手MPマテリアルズコーポレーションに5億ドル(約740億円)を出資する」と発表した。MPマテリアルズは7月10日に米国防省とパートナーシップを契約したばかり。米国が官民挙げてレアアース供給網(サプライチェーン)確立を急ぐ様子が露わになっている。
■アップル専用ネオジム磁石工場を建設へ
プレスリリース(アップル):Apple expands U.S. supply chain with $500 million commitment - Apple
出資に伴い、アップルはMPマテリアルズのテキサス州フォートワースにある旗艦工場からレアアースを購入する。また、テキサス州にアップルを専属供給先とするネオジム磁石の工場を共同建設する。さらに、カリフォルニア州マウンテンパスに最先端のレアアースリサイクル工場を建設し、磁石の性能を向上させるための新しい磁石材料と加工技術の開発に共同で取り組む。
■国防省が株主、官民でレアアース注力
これに先立ち、MPマテリアルズは7月10日、自社ホームページ上で、「米国防省と数十億ドル規模の官民パートナーシップ契約を結んだ」と発表していた。米国防総省がMPマテリアルズの転換社債4億株相当を引き受ける。契約にワラントが含まれていることから、将来的に米国防省がMPマテリアルズの筆頭株主になる可能性がある。
また、米国防省はMPマテリアルの既存工場の拡張費用として1億5000万ドルを融資する。さらに、2028年操業予定の新工場で生産されるネオジム・プラセオジム(NdPr)などのレアアース磁石製品を10年間買い取る。
(IR Universe Kure)