2025年7月下旬~8月上旬のレアアース市況は静けさが目立つ。金属ネオジム以外はおおむね横ばいで推移している。磁石向けの軽希土類に市場の注目が集中し、ほかの鉱種は動きが出にくくなっている。
■中国の価格指数が200超え
中国の業界団体である中国稀土協会が8月4日に発表した同国の7月のレアアース価格指数は191.9と、6月の182.1から上昇した。最低は7月1日の182.１、最高は7月30日の205.4で、月間を通して上昇を続けた。8月4日は205.5。過去1年半余りの最高値圏で推移している。
中国レアアース指数の推移
(出所: 中国稀土協会)
上海有色網(SMM)は7月31日までのレポートで、「磁石向け材料の需要回復が意識され、軽希土類市場で取引業者のセンチメントが強気になっている」と分析した。
■ネオジム1年9カ月ぶり高値
金属ネオジムの価格推移(99% FOB China)($/Kg)
磁石向け需要の多い軽希土類の代表格である金属ネオジムは7月31日に$90.25/kgと、節目の$90台を回復し、2023年10月以来ほぼ1年9か月ぶりの高値を付けた。7月以降は毎週のように値を上げている。
中国税関総署が7月21日に発表した6月の貿易統計月報によると、6月の対米輸出のうち、レアアース磁石の輸出量は353トンと5月の7.6倍に増えた。米中間がレアアース貿易で軟化しているとの見方が強まり、レアアースの需要が回復するとの期待につながっている。
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米中は8月12日に関税交渉の期限を迎える。ただ、この交渉期限は延長の観測も浮上している。
■磁石向け以外は横ばい
金属テルビウムの価格推移(99% FOB China)($/Kg)
ネオジム以外のレアアースはおおむね横ばい。金属テルビウムは7月17日に付けた$1255/kgを維持している。既に2024年1月以来の高値圏にあり、一段と上値を追う動きは乏しい。
金属ジスプロシウムの価格推移(99.5% FOB China)($/Kg)
金属ランタンの価格推移(99% FOB China)(S/Kg)
金属ジスプロシウムと金属ランタンも7月10日に付けた値から動かない。金属ジスプロシウムは$298/kg、金属ランタンも$3.35/kgからそれぞれ横ばいだ。
<Topic>
●8月1日
ロイター通信は8月1日、「米政府が、レアアースの国内取引価格に最低ラインの設定を導入することを検討している」との消息筋の話を伝えた。
米国は7月10日、国防省が同国資源のMPマテリアルズとの間でレアアースの供給契約を結んだばかり。最低価格はMPとの取引価格が基準になる見通しという。ロイターは、ナバロ貿易顧問が7月24日の会議で、MPと政府の取引について長期的なものだとの見解を示したとも伝えた。
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●7月31日
独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構（JOGMEC）は、7月31日に「クリティカルミネラルブリーフィング」をオンライン開催した。今回のセミナーでは、JOGMEC 金属資源部 小田翔太 氏が「中国によるレアアースに対する管理強化に係る動向」の題で講演した。
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●7月24日
日本鉱業協会が7月24日開いた定例記者会見で、中国のレアメタル・レアアース輸出管理や、銅の買鉱条件を巡る質問があった。
関連記事: 「関税の動向を注視し情報収集に努めていく」―― 日本鉱業協会会見 | MIRU
●7月24日
米コンサルティング大手のマッキンゼー・アンド・カンパニーは7月24日、自社ホームページ上で、レアアース需給についての最新レポートを発表した。同社はこの中で、磁石向けレアアース の世界需要は 2022 年の 5万9000 トンから 2035 年には 17万6000 トンと約 3 倍になると予想した。
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●7月24日
日本政府が出資する豪資源ライナス・レアアースが7月24日に発表した2025年4-6月期の実績報告書で、売上高は1億7020万豪ドルと前年同期比26%増えた。
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(IR Universe Kure)
