2025年8月第3週の中国のニッケル銑鉄とニッケル鉱石価格はほぼ横ばい。銑鉄価格は持ち直したものの微調整の範囲内。鉱石価格は6月から動きがない。中国ではニッケルの供給先であるステンレス精錬所がオフシーズン入りして稼働率が低く、ニッケル生産にも慎重な姿勢が続いている。
■銑鉄やや戻すも微調整、鉱石は6月から横ばい
過去3ヶ月間のニッケル銑鉄価格の推移(NPI content 10-15% China)(RMB/Nickel/MTU)
中国のニッケル銑鉄価格は8月7日に高値RMB925/MTUと7月半ば以来の高値に戻した。直前の8月6日まではRMB920と直近安値を付けていた。ただ、本格反発とは言い難く、勢いはまだ感じられない。
上海有色網(SMM)は8月8日までのレポートで、「インドネシアのニッケル生産政策が不透明感が強く、製錬所と鉱山事業者の両方が慎重で様子見の姿勢をとるようになった」とも指摘した。
過去3ヶ月間のニッケル鉱石価格の推移(1.8min CIF China)($/ton)
中国のニッケル鉱石価格は6月19日に付けた仲値$77/tonから動いていない。水準としては2024年1月以来の高値圏となる。
■精錬も値動き限定
過去3か月間のLME($/ton)とSHFE(RMB/ton)のニッケル価格の推移
精錬ニッケル価格も小動き。ロンドン金属取引所(LME)のニッケル価格は8月11日に現物$1万5045/tonを付けた。8月2日には$1万4600と4月以来の安値に下げたものの持ち直した。ただ、$1万5000近辺でのボックス圏からは抜け出せていない。
上海先物取引所(SHFE)のニッケル価格も同調した動き。8月11日に現物RMB12万1630/tonを付けた。12万ちょうど前後での値動きが続く。
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8月8日
中国の青山控股集団(Tsingshan Holding Group)が運営するインドネシアのニッケル生産拠点モロワリ工業団地(IMIP)で8月8日、暴動が発生した。CNNインドネシアやメディア・インドネシアといった現地メディアが8月11日までに伝えた。
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8月5日
日本冶金は8月5日、インドのムンバイにステンレス・特殊鋼・高ニッケル合金の販売を手掛ける現地法人を新たに設立したと発表した。
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7月30日
インドネシア経済メディアのコンタン(KONTAN)は7月30日、同国のニッケル精錬会社が減産に踏み切っていると伝えた。
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7月22日
日本重化学工業は7月22日、「7月15日付で自社と子会社であるJMC-BM株式会社のニッケル製錬事業が経済産業省の“重要鉱物の供給確保計画”に認定された」と発表した。
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7月23日
米ニッケル精錬のウエストウイン・エレメンツ(Westwin Elements)は7月23日、米資源トレーダーのトラクシーズ(Traxys)との間で、合計14億ドル超の相互オフテイク契約を締結したと発表した。
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7月22日
経済産業省と財務省は7月22日、中国や台湾、澎湖諸島、金門、馬祖から成る独立の関税地域産ニッケル系ステンレス冷延鋼帯、冷延鋼板に対する不当廉売関税の課税申請について、両省合同の調査を開始すると発表した。
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7月21日
7月21日のロイター通信によると、ロシア資源のノルニッケルは2025年のニッケル年産予想について、204,000–211,000トン → 196,000–204,000トンへと下方修正した。
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(IR Universe Kure)