意外なようだがインドにおける最大の鉛需要先は自動車ではない。
まだインフラ設備に使う大型の産業用バッテリーがメイン。インドの電気鉛生産は43万トン(2011年ベース)、電機鉛需要も同程度で45万トン。
インドにはHindustan Groupの一次精錬メーカーは1社か2社にとどまるが、Gravitaを代表とする二次精錬メーカーは100社近くにのぼる(鉛精錬メーカー筋)という。インドの二次精錬の生産量は不明だが、Gravita1社で月間2000~3000トンの生産をインドだけで行っているため、やはり数万トンの再生鉛は生産されていると考えられる。
ちなみにこのGravitaはインドだけでなくグローバル展開をしており、バッテリースクラップの発生が見込める中東、欧州エリアにも精錬拠点を設けている。
しかしインドでは間違いなく年々鉛バッテリー需要は増加しており、自動車向けが本格的な需要期に入れば鉛不足に陥ると予想されている。日系の電池メーカー各社はこぞってインドでの鉛バッテリー生産を増強していることはご承知の通り。
インド最大の鉛バッテリーメーカーは米エキサイド・テクノロジー、第2位が地元のサザンバッテリー。
インドの鉛バッテリー市場に詳しい関係者によると
「インドでは自動車はまだまだだが、電動三輪車、イメージ的にはタイのTUKUTUKU(ツクツク)に似ているが、この電動三輪車需要が伸びており、バッテリー需要も伸びている」という。
世界的にはE-TRIKEという名称だが、中国の電動自転車がすたれて世界の鉛需給にも若干マイナス影響が出ているいま、このE-TRIKEが鉛市場の救世主になるといわれている。
(写真はテラモーターズの電動三輪車)
先のインド関係筋によると
「電動三輪車には1台につき120kg(筐体合計で)の鉛バッテリーを積んでいる。鉛分でいうと25kgの鉛を積んでいる。インドの鉛バッテリーはことごとく大型であるため、公式統計の2倍以上の鉛需要と生産があるのではないか。しかしそれでもインドでは鉛が不足している」という。
この電動三輪車は日本にはない市場。
インドで法人を立ち上げた電動バイク販売大手のTERRA MOTORSは日本のPanasonicと電池の供給契約を結んだといわれているがインド現地の鉛バッテリーも採用する見通しとも聞く。
インドでは先述したように自動車向けはこれから。
足下では1個が30~50kgの大型の産業用バッテリーが最も伸びており、太陽光発電の蓄電用としての鉛バッテリー需要も旺盛。
(IRUNIVERSE YUJI TANAMACHI)