輸送機器・産業機器メーカーの新明和工業(株)(本社兵庫県 五十川龍之社長)と水素エネルギー機器メーカーの(株)フレイン・エナジー(本社北海道、小池田章社長)は5月12日、水素エネルギー事業の一環として、フレイン・エナジーが開発した「脱水素装置」の試作機を用いた実証を開始したと発表した。
2001年に設立されたフレイン・エナジーは、これまで有機ハイドライド技術を用いた装置や水素を用いた「小型の発電ユニット」の製品化してきた。
有機ハイドライドとは、気体の水素とトルエンを反応させることで容積が約500分の1 となるMCH(メチルシクロヘキサン)を用いて水素を貯蔵・輸送する技術。常温常圧の液体で輸送できる特性を持つため、水素のハンドリングが容易なことに加え、水素エネルギーの高密度・軽量化(重量貯蔵密度6.16wt%、体積貯蔵密度0.53N㎡/L)を実現した。
また、保安上はガソリン扱いになるため、既存のガソリン貯蔵設備やタンクローリーの活用が可能で、水素を取り出す際に発生するトルエンも再利用できる。
フレイン・エナジーが所有する有機ハイドライド技術
今回の協業にあたり、新明和工業の担当者は、「フレイン・エナジーさんが所有する有機ハイドライド技術を軸に製品の小型化や水素を取り出すときのエネルギーロス削減に取り組んでいきます。合わせて、当社が持つ量産技術や、マーケットの確保のノウハウも提供していきます」と話した。
実証では、2024年までに安全性、高効率化などの検証および量産化に向けた課題や需要先の洗い出しを行い、2025年の商品化を目指す。
(IRUNIVERSE ISHIKAWA)