銅生産世界最大手のチリ銅公団(コデルコ)に債務懸念が浮上している。米格付け会社のムーディーズ・インベスターズが10月4日に同社の信用格付けをこれまでのA1からBaa3に引き下げた。一方のコデルコは10月5日、自社ホームページ上で、アレハンドロ・リベラ最高財務責任者(CFO)が11月3日付で辞任すると発表。経営の混乱が警戒されている。
ムーディーズはコデルコの発行体格付け見通しも「ネガティブ(弱含み)」とした。一方、リベラ氏は前任が6月に突如辞任したのを受けて就任したばかりで、在職期間は数か月と短く終わることになる。経営状態の悪化懸念が広がり、10月5日の米金融市場ではコデルコの社債が下落した。
■需給双方に問題
コデルコは需給双方の問題を抱える。まず、所有の鉱山が老朽化し、維持コストが拡大していること。過去の事故などの対応に追われる一方で、これまで新たな投資が進まなかったため、生産が細っている。銅生産世界1の座は、米同業のフリーポート・マクモランや豪資源大手BHPグループなどに追い上げられている。
一方、銅相場の低迷は製品価格の低下につながり、コデルコにとっては減収要因だ。中国をはじめ世界景気の減速懸念がくすぶる中、LME銅現物は10月5日に1トン=7812ドル前後とほぼ一年ぶりの安値で推移している。
過去1年間のLME銅の推移($/ton)
10月5日のロイター通信は、業界団体のチリ銅・鉱業研究センター(CESCO)が報告書中で、「コデルコがコスト上昇と負債の増大により破綻状態に陥る恐れがある」と指摘したと伝えた。
(IR Universe Kure)