南米・チリ政府は10月16日、ホームページ上で、「中国を訪問中の同国のガブリエル・ボリッチ大統領が、中国の金属大手である青山控股集団からの大型投資受け入れに調印した」と発表した。青山集団は2億3320万ドル(約340億円)を投じ、チリに電気自動車(EV)向けのリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリー工場を建設する。
チリ政府の中国訪問団
(出所:チリ政府ホームページ)
発表によると、青山集団は子会社を通じ、チリ北部のアントファガスタ州にLFP工場を建設する。稼働開始は2025年5月、LFP生産量は年間12万トンの見通し。チリ政府は、チリ国民が9割を占める700人弱の新規雇用が見込めると説明。2年目からは10人程度を中国に派遣し、4ヶ月~半年ほどの技術習得に当たらせることでも合意したと発表した。
チリは世界トップクラスのリチウム埋蔵国だが、生産量ではオーストラリアなどに及ばない。ただ、近年は電気自動車(EV)の世界的な普及を見据え、輸出品の高付加価値化も目指してリチウム産業に注力している。今回、青山集団が投資することになったアントファガスタ州には、今年春に中国EVメーカーのBYDがバッテリー工場を建設すると伝わった。チリ政府は、青山集団はこのBYDのバッテリー工場の生産にも携わると発表した。
青山集団は2022年春のロンドン金属取引所(LME)のニッケル約定取引事件の引き金になったショートスクイーズを仕掛けたとされる。世界各国で投資しており、インドネシアやアフリカ・ジンバブエでも事業展開している。
(IR Universe Kure)