中国が12月1日から、電気自動車(EV)の主要材料の1つであるグラファイト(黒鉛)の一部製品について輸出を許可制にする。ただ、足元の黒鉛価格はやや軟調だ。中国当局が10月20日に輸出規制強化を発表してからの1か月余りで先回り買いも一巡したとみられる。
過去3か月間の球状黒鉛価格の推移(99.95%min 17um max in China)(RMB/ton)
miruのデータによると、球状黒鉛の価格は11月29日に高値で1万3200元/mtと、規制発表前(1万3300元/mt)を下回っている。11月の仲値平均価格1万2714元で、1年前に比べると4割強安い水準にある。
ほかの形状でも上値の重い展開が目立つ。金属価格サイトのAsian Metalのデータでは、バッテリー材料として多く用いられる鱗片状黒鉛の国際価格は11月30日に高値635ドル/mtと、やはり規制発表前(650ドル)を下回った。発表後に上昇があった土状黒鉛も11月30日に高値2690元/mt。11月上旬には一時2700元に上げたが、やや弱含んだ。発表前(2550元)からの上昇率は5.5%。
10月の中国の規制発表直後には「11月に黒鉛の先回り買いが増えそうだ」(ロイター通信)との予測があったが、現在までのところそうした動きはみられていない。一部の関係者の間では「今回の措置は規制を緩和した部分もあり、全面的な禁輸でもない」(中国関連の商社関係者)との冷静な声も聞かれている。
中国が8月に先行して輸出規制を実施したガリウムとゲルマニウムをめぐっても、規制後に一部企業が輸出を認可されるなどしている。それだけに、関係者は黒鉛についても様子見に回っているようだ。
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(IR Universe Kure)