スイス資源大手グレンコアは2月12日、自社ホームページ上で、「仏領ニューカレドニア北部で運営するコニアンボ・ニッケル鉱山(KNS)を売却する」と発表した。売却先はこれから探す。ニッケル相場の下落により採算が取れず、不採算事業の切り離しに踏み切る。
■コスト高と価格下落で不採算に
(出所:コニアンボ鉱山ホームページ)
グレンコアは発表資料中で、「2013年にコニアンボ鉱山を買収して以来合計90億ドル以上を同鉱山につぎ込んだが思うような利益を上げられなかった。フランス政府の支援もあったが、コスト高と製品価格の下落の中、採算が合う見通しが立たない」と説明。「現地への経済効果は十分だったと思う」として、今後も6か月間にわたり製錬炉の温度と雇用を維持すると述べた。
コニアンボ鉱山から採れるのは車載バッテリーなどには適さない低品位のニッケルで、グレンコアにとっては長年の負担だった。ただ、同社は2023年9月時点では、コニアンボ鉱山への出資を続けると発表していた。
プレスリリース(英語):Koniambo Nickel to Transition to Care and Maintenance (glencore.com)
ニッケル相場はグレンコアがコニアンボ鉱山を買収した2013年以降は$2万/tonを下回る水準での推移が多かった。2022年にかけて車載バッテリー材料向け需要への期待から一時高騰したが、現在はそれもしぼみ、$1万5000台に下落している。
過去15年間のLMEニッケル価格の推移($/ton)
■コバルト、ニッケル。フェロクロム…多くの生産縮小へ
グレンコアは他の鉱物についても、2024年は生産に慎重だ。同社が2月1日に発表した2024年の主要製品の生産目標は下記の通り。
グレンコア主要製品の2023年の生産実績と24年目標
(注:単位は千トン、増減率は2023年と2022年の比較)(グレンコア社の発表をもとにIR universeが作成)
(IR Universe Kure)