宮崎県日向灘を震源とする地震の発生を受け、旭化成は8月8日、同県延岡市にある繊維事業などの複数の工場で稼働を止めたと明らかにした。熊本日日新聞などが同日伝えた。同地震を受けて気象庁は初めて「南海トラフ臨時情報(巨大地震注意)」を発表した。半導体やリチウムイオン電池工場なども一段の備えが必要となる。
熊本日日新聞によると、旭化成の工場停止は地震検知に伴う自動停止や現場の判断によるもので、社員や設備の被害は確認されていない。安全を確認した上で稼働を再開する方針という。また、日本ハムも宮崎県内にある生産子会社3社の工場稼働を点検のため一時停止した。その後、設備に異常がないことを確認し、再開したと伝わった。
熊本県には半導体受託生産(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が工場を設置しているが、9日時点で特段の被害は報告されていない。
南海トラフ地震が発生した場合、各工場も大きな被害が予想される。特に半導体は一度工場が止まると復旧までに時間がかかるとされ、供給網(サプライチェーン)が複雑なだけに一度混乱が起きると影響が広範囲になりやすい。また、リチウムイオン電池は衝撃に弱く、落下などで発火する恐れもある。火災などの二次災害を防ぐためにも、工場の防災にも留意したい。
(IR Universe Kure)