カナダ現地紙によると、同国オンタリオ州キングストン市議員であるマーク・ゲレトセン氏は9月4日、同国の鉱物リサイクル企業であるサイクリック・マテリアルズ(Cyclic Materialsと、グリーン・グラファイト・テクノロジーズインク(Green Graphite Technologies、GGT)の2社に、合計840万ドル(約12億円)の支援を発表した。
カナディアン・マニュファクチャリングはじめ複数の現地紙が同日伝えた。カナダ政府が進める重要鉱物の研究・開発政策(Critical Minerals Research, Development and Demonstration 、CMRDD)を背景に支援する。支援金の内訳は、サイクリックが490万ドル、GGTが350万ドル。
サイクリックはレアアース、GGTは黒鉛(グラファイト)のリサイクル事業をそれぞれ手掛ける。サイクリックはレアアース回収で特許技術を持ち、7月に米マイクロソフトからの出資を獲得したばかりだ。
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GGTは中古黒鉛の回収と、バッテリーグレード黒鉛への再生技術を有する。再生された黒鉛は電気自動車(EV)のほか、モバイル端末などに再利用されている。
■脱中国依存目指しリサイクル加速
重要鉱物のリサイクルは西側諸国で活発化しているが、多くがまだ始まったばかりだ。キングストン現地紙のキングストン・ディス・ウイークの9月4日報道によると、ゲレトセン市議は今回の支援について「2社には世界をリードするチャンスがあり、(支援により発展すれば)地域の雇用機会創出にも役立つ」と話した。
さらに、背景にはやはり中国による重要鉱物寡占への危機感と脱中国依存の進行期待がある。ゲレトセン氏は「カナダは、他の国が私たちを打ち負かすのではなく、これらの技術の輸出国になる」とも発言したという。GGTのトップも「「人々が理解していないのは、黒鉛の90%以上が中国で非常に汚染度の高いプロセスで生産されていることだ。我々はEV普及により別の問題を生み出してはならない」」と強調したと伝わった。
(IR Universe Kure)