中国国家統計局が1月17日に発表した中国の2024年の実質国内総生産(GDP)は前年比5.0%成長した。政府目標である5%成長を達成した。9月下旬から相次ぎ打ち出した景気刺激策が奏功し始め、10月以降に製造業の一部が回復した。ただ、足元の不動産市況の悪化には歯止めがかかっておらず、課題は2025年に持ち越しとなった。
2024年11月までの中国の主な経済指標
(注)単位は新規融資以外は前年同期比増減で%、新規融資は元。不動産開発投資と固定資産投資は年初からの累計)
(中国国家統計局、中国海関、中国汽車工業協会、中国人民銀行などの発表をもとにIR Universeが作成)
10-12月期のGDPが5.4%成長して2024年通年の成長率を引き上げた。12月単月で見ると工業生産高が6.2%増と11月の5.4%増から伸びが拡大し、銀行融資も9900億元に回復した。輸出は対中関税の引き上げを公言するトランプ次期大統領の就任を前に駆け込みでの対米輸出が膨らみ、10.7%増と大幅に伸びた。新車販売は単月で12%のプラスで、通年では4.5%増加した。
一方、不動産開発投資は10.6%減と減少率は1-11月の10.4から一段と悪化した。5月に2ケタ減に乗せてからも悪化に歯止めがかからない1年だった。固定資産投資も3.2%の増加と、12月が年間で最悪の水準となった。不動産のマイナス資産化が家計を苦しめ、小売売上高の伸びも3.7%増と小幅にとどまった。
今後はトランプ米大統領の就任とともに輸出環境が厳しさを増すことが考えられ、中国としては内需喚起が一段と重要になってくる。市場では、既に政策金利の引き下げや通貨の切り下げを予測する声も上がる。不動産市況の改善に結びつけられる政策をどこまで打ち出せるか、中国当局にとっても正念場となりそうだ。
(IR Universe Kure)