インドネシア投資庁(INA)は5月28日、ホームページ上で、「インドネシア政府系ファンドのダナンタラとともに、フランスの鉱山会社エラメット(Eramet SA)と、ニッケル下流事業で協力する」と発表した。電気自動車(EV)向け車載電池の原材料としての同国のニッケル加工技術を引き上げ、国際供給網(サプライチェーン)を確立することを目指す。
インドネシア大統領と会見する仏大統領夫妻
(出所:インドネシア政府ホームページ)
■マクロン大統領の訪問で合意
フランスのマクロン大統領は5月25日から東南アジアを歴訪している。インドネシアでは5月28日にプラボウォ大統領と会談し、今回のエラメットとの合意はこれに伴うもの。ダナンタラとINAは企業がニッケル加工向け投資を行うための長期資金調達を管理し、エラメットが技術支援する。特にエコシステムに配慮したニッケル製品の生産・供給システムの確立を目指す。
■一度は苦渋なめるも諦めず
インドネシアは単純な資源輸出国から製造立国への転換を目指し、ニッケルについては加工業の促進を進める。ダナンタラは2025年2月に設立したばかりのプラボウォ政権肝いりのファンドで、国家資産の効果的な管理と投資を通じて、持続可能な経済成長を促進することを目的とする。具体的には、再生可能エネルギー、先端製造業、下流産業、食料生産などの分野への投資を重点的に行う。
一方のエラメットは2006年からインドネシアに投資し、一時はドイツ化学のBASFと、ニッケル・コバルト精錬複合施設1(SonicBayProject)への共同投資を計画していた。ただ、これは金属価格低迷などを背景に2024年6月にとん挫していた。
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(IR Universe Kure)