インドネシア政府が同国スラフェシ島のニッケル生産拠点であるモロワリ工業団地(IMIP)に、環境条例違反による制裁を科すもようだ。米ブルームバーグ通信が6月19日に伝えた。同団地は中国の青山控股集団(Tsingshan Holding Group)がニッケルを生産している。もし生産が止まれば、インドネシアからのニッケル供給に影響が出る可能性がある。
報道によると、インドネシア政府は、不十分な廃水管理、大気汚染、無許可の尾鉱エリアの使用などの問題について、MIPに政府指導を行った上で罰金を科す方針だ。この工業団地を巡っては4月に地すべり事故が起きたほか、2023年末には死者20人近くを出す大事故が発生していた。
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インドネシアは世界最大のニッケル生産国。しかし、近年は地元住民や国外の環境団体などの間から、資源採掘に伴う環境汚染への懸念も高まり、政府も無視できなくなっている。
6月10日には、同国政府が西パプア州のラジャアンパット諸島でのニッケル採掘を一時停止する方針を固めたとも伝わった。同地域ではインドネシア国営のアネカ・タンバン(アンタム、PT Antam)がニッケルを採掘しているが、世界有数のダイビングスポットであるため、環境保護団体などから鉱業活動に対する反対が出ていた。
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(IR Universe Kure)