LMEニッケル安が上値を重くする展開
LMEニッケル相場は現在1万7,000ドル台での弱含みの推移が続いている。外国為替市場では1ドル=155~158円という円安水準にあるものの、指標となるニッケル相場の下落が重石となり、国内ステンレススクラップ相場は様子見ムードが強まっている。

(不思議にリンクしている為替円ドル相場とLMEニッケル相場)
国内市況:304系は横ばい、316系はモリブデン高で強含み
現在の国内市中実勢価格は、主力の304系スクラップがキロ当たり190円前後で推移している。一方、316系スクラップについては添加元素であるモリブデン相場の高値が下支えとなり、強含みのキロ当たり360円前後で取引されている。

(304系スクラップと316系スクラップ相場の推移 市中実勢)
メーカーの購買動向に目を向けると、ステンレス最大手の日本製鉄は2月初旬、304系スクラップの買値をキロ当たり5円引き上げる構えを見せていたが、直近のLMEニッケル相場下落を受けて判断を躊躇し、引き上げを保留した経緯がある。3月初頭現在においても、日本製鉄をはじめとするステンレス・特殊鋼メーカー各社から304系スクラップの買値引き上げの動きは出ていない。
ただし、日本製鉄は恒例となっている5月の炉修(設備の補修・点検)を控えているものの、足元の生産水準は意外に高く維持されている。そのため、メーカー側のスクラップ購入意欲自体は依然として高い状態が続いている。
輸出市場:韓国向けは炉修で一服、インド向けは運賃高がネックに
輸出市場に目を向けると、牽引役となるアジア向けの動きは鈍い。韓国最大手のポスコ(POSCO)が現在も炉修中であるため、本格的な買い付けが入っていない状況だ。これに伴い、韓国向け輸出で最大手となる親和スチールも、一部でスポット購入を行っているものの、基本的には控えめな買いスタンスを通している。
また、インド向けは304系スクラップでCIF 1,250ドルでのオファーが聞かれるが、足元のフレート(海上運賃)高止まりが嫌気され、買い手からは敬遠気味となっている。アジア地区におけるSABOT(ステンレススクラップの国際的な取引呼称)相場は、概ね1,250~1,280ドルのレンジで推移している。
クロム系(400系):国内メーカーと輸出価格に値差
クロム系(400系)スクラップの動向については、輸出船積み拠点となる湾岸価格がキロ当たり63円前後にとどまっている。これに対し、国内の特殊鋼メーカーはいまなお同70~72円の買値水準を維持しており、国内向けと輸出向けで明確な値差(スプレッド)が生じている状況だ。当面は国内向け出荷が有利な地合いが続くとみられる。
(IRUNIVERSE)