時期的には「梅雨」だが、連日の熱暑からあえて夏、とさせていただく。
ステンレススクラップ市場は、鉄でも同様ではあるが、沈黙の夏、で無風状態が続いている。
POSCO向けSPOTで局地的な高値が出ているが、傾向としては下げ含み。国内、輸出ともに需要が薄い。
304系スクラップ市場は実勢でキロ当たり165~170円、430系で60~63円、316系で280円前後、で推移している。一部で175円という高値も出ているが、韓国POSCO向けのSPOT供給対応、とみられる。一部、中国向けに高値が出ている、青山集団が買っている、との噂もあるが、関係筋に聞いてみると、青山向けの可能性は現時点では低いようだ。
(最近3か月のLMEニッケル相場と304系スクラップ相場の推移)

さる中国系バイヤーに聞くと
「良くないですね。国内メーカーも買い気は薄い。輸出も芳しくない。アジアのSABOT市場は1250ドルが高値だと思うが、為替144円としても180円どまり。160円で仕入れないと合わない。しかし正直そこまで下げ切れていない。早めに夏休みに入るしかないね(笑)」と達観。
また千葉県のスクラップディーラーによると
「平穏といえば平穏ですね。袖ヶ浦(JSPの新しいヤード)もたいして集まっていない。高値も出ていない。最近、日鉄ステン会の方々が現地訪問したようですが。。発生も少なければ需要も低い、というバランスが今なので、しばらくこの膠着状態は続くのではないかとみております。夏休みは・・カレンダー通りです(笑)」。
そして東北地区では最もステンレススクラップを扱うディーラーにも聞くと
「青山(集団)はダメだね。一番最初に青山に出したのはうちなんだけど、今は値段が低い。出せないよ。韓国向け(POSCO)は7-9月のSPOTでとりましたが、え、ま~2000トンくらいでしょうかね。ステンレスはぼちぼちだね。他の高品位スクラップの処理に力入れてるよ!」と相変わらずお元気な弁。
そんななか、これまで鳴りを潜めていた中国向けの輸出が旺盛、という。
川崎の東和商事はじめ、大阪では内田産業(中国系)が活発に仕入れを強めている、という。といって170円以上の高値が出ているようではない。中国につけて180円、というのが限界ではあろうが、確かに下図のように最近は中国向けは増えている。4月は8000トン、5月はこれを超える、とも言われている。
中国向けが青山集団向けかどうかは不明だが、一部で中国向けはコンテナVAN詰めで180~183円という価格も散見されている。今後の動きは要注意だろう。
インド向けは玉石混交。フレートの高さがネック。タイ向けはクロム系が中心。台湾向けは韓国向けと同じく304系が中心の内容、ということが輸出単価でわかる。
(日本 2025年4月のステンレススクラップ輸出)

(財務省貿易通関統計)
(24年11月~25年4月までの主要向け先推移)

(貿易統計をもとにMIRU編集)
https://www.iru-miru.com/article_detail.php?id=75457
(IRUNIVERSE YT)