欧州自動車大手ステランティスの中国合弁会社が7月8日、正式に破産宣告をした。謄訊網などの中国メディアが7月11日までに伝えた。中国では、2000年代までは日本勢を含む合弁会社による外国ブランド車が人気だったが、その後は中国ブランドが台頭した。特に近年は国産の電気自動車(EV)に人気が移り、時代の変化に押されての破綻劇となった。
■3年間の再編努力も実らず
破産したのはステランティスと中国国有の広州汽車集団の合弁企業である広汽菲亜特克莱斯勒汽車(広汽菲克、広汽フィアット・クライスラー、GAC FCA)。同社の管財人が、「破産申請をしていた湖南省長沙市の裁判所が、6月27日に破産を認めた」と発表したという。
GAC FCAは2010年に米クライスラーとの合弁で設立し、「フィアット」ブランドでのジープを手掛けた。その後はクライスラーの経営破綻に伴いステランティスとの合弁企業となったが、ステランティス側が一方的に出資比率の引き上げを宣言するなど合弁当事者間の確執も浮き彫りになった。近年は中国でのEV人気に乗り遅れ、2022年に経営破綻を表明。再編に取り組んでいたが、債務返済が不可能と判断したという。
■新車の7堀が中国ブランドに
中国ではかつて、メルセデス・ベンツやトヨタなど海外ブランド車が人気で、日本勢を含め多くの海外メーカーが国有大手などと合弁を組んだ。しかし、近年は中国企業の性能向上により、まず長城汽車や吉利汽車などの民営大手の多目的車(SUV)が台頭。その後、BYDをはじめとする国産EVの時代になった。現在では、中国の乗用車販売量の7割弱が中国ブランド車だ。
中国の乗用車販売の国別シェア(2025年5月)
(出所:中国汽車工業協会)
時代の変化に伴い、三菱自動車が2023年に中国事業からの撤退を発表するなど、外国勢の中国ビジネスの練り直しが続いている。謄訊網は、フォードやプジョー、現代自動車など他の外国勢も中国事業の現状は思わしくなく、計画練り直しに動いてもおかしくないとの見方を伝えた。
(IR Universe Kure)