欧州連合(EU)と米国が「金属同盟」を発足させる模様だ。ロイター通信が7月29日、マロス・セフコビッチ欧州通商委員の7月28日の記者会見での発言として伝えた。欧米が7月27日に結んだ貿易協定の一環。中国の過剰生産による金属価格への影響を低減することを目的とする。
(出所:EUホームページ)
■銅や派生金属商品も対象に
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報道によれば、セフコビッチ氏は「この合意は、鉄鋼、アルミニウム、銅、および金属同盟と呼びたい派生品に関する共同行動の明確な見通しであり、優遇措置を伴う歴史的なレベルの関税率割当を通じて、それぞれの経済の周りに事実上共同のリングフェンスを創設する」ことだと語った。
まず、EUから米国に輸出する鉄鋼とアルミニウムについて、最小関税またはゼロ関税の割当制度が付与されると話したという。ただ、この税率は確定ではない。鉄鋼とアルミについては、EU側の発表資料では「両地域間の関税削減とクォータ制度の導入」としてのみ触れられている。
プレスリリース(EU):Statement by the President on the deal with the United States
セフコビッチ氏はまた、米国との交渉に先んじて行われた中国との首脳会談について、一部で議論が平行線をたどったことを認め、「問題は中国企業による政府補助金を用いた過剰生産だ」と指摘したとも伝わった。
■日欧韓はすべて15%
EUと米国は7月27日、米国がEUにかける相互関税や自動車関税の税率を15%に下げることで合意した。代わりに、EUは米国からの7500億ドル(約110兆円)相当のエネルギー購入や6000億ドル超の対米投資を約束した。
米国は7月30日には、韓国とも輸入関税15%で合意したと発表した。これで日本、EU、韓国はすべて米国への輸入関税15%で同水準となった。残る国・地域で早期の関税決定が見込まれるのはハイテク関連の米事業が多い台湾で、8月1日の関税実施日を前に交渉が展開されているとみられる。
(IR Universe Kure)