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欧州からの風:August 2025 「クラリオス、欧州におけるリサイクル能力拡大へ」

2025/08/23 09:34
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先進的なエネルギー貯蔵ソリューション大手クラリオス(Clarios)はこのほど、エコバット(Ecobat)が所有するドイツのフライベルクおよびブラウバッハ、オーストリアのアルノルトシュタインの3つの施設を買収・統合し、欧州における電池リサイクル事業を大幅に拡張すると発表した。

モビリティ向けの先進低電圧電池技術を手がけるクラリオスは、VARTA(車載用)ブランドを所有、同社の電池とスマートソリューションは、現在道路を走行する車両の3台に1台は同社のものという業界大手だ。グローバル拠点は100か国以上におよび、雇用数は約18,000人。


技術的専門知識を統合し事業能力を向上

現在エコバット(Ecobat)が運営するこれら3施設の取得により、鉛およびポリプロピレン(ポリ)の処理・回収において実績ある技術と専門知識がクラリオスのリサイクルネットワークに加わることになる。また施設の統合により、同社のリサイクル能力が大幅に向上し、長期的な「サステナビリティ目標」を支援するとともに、EU規制により牽引される責任ある調達と資源循環の高まる顧客需要への対応が強化される。


クラリオスEMEA(欧州・中東・アフリア)地域社長のヴェルナー・ベナーデ氏は、「今回の買収は我々の欧州事業における重要なマイルストーンです。欧州のリサイクルインフラを強化し、サプライチェーンの「レジリアンス」を向上させ、高品質の二次材料供給を支援する。これには主力ブランドであるVARTAで使用される材料も含まれており、低電圧電池への需要拡大にも対応し、自動車業界のエネルギー移行を支援し、循環経済における我々のリーダーシップを強化するものです」とコメントした。


多角的な事業効果

今回の買収がクラリオスにもたらす効果は多岐にわたる。まず自社における鉛リサイクル能力の増強により、使用済み電池由来のクローズドループ回収が可能となる。次にポリプロピレンリサイクル能力の拡大では、クラリオス初の自社ポリ・コンパウンド能力が加わる。これは、車両で使用されるプラスチックの少なくとも25%を使用済み車両(ELV)由来の廃棄物から調達することを求めている(欧州委員会法案)EUのELV規則案要件にも沿うものだ。さらに、欧州能力の強化により、サプライチェーンにおけるレジリアンスを向上させ、欧州全体におけるサステナブルな生産を実現する。


今回の買収取引は規制による承認を条件として、2026年初頭までに完了予定となっている。


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SCHANZ, Yukari
オーストリア、ウィーン在住フリーライター。現在、ウィーンとパリを拠点に、欧州におけるフランス語、英語圏の文化、経済、産業、政治、環境リサイクル分野での執筆活動および政策調査に携わっている。専門は国際政治、軍事、語学。
趣味は、書道、絵画、旅行、フランスワインの飲酒、カラオケ、犬の飼育。
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