ベトナムの鉄鋼業界が回復基調に入りつつある。中国政府が講じた過剰供給・低品質競争を抑制する措置により、中国国内の鉄鋼価格が上昇。これが周辺国にも波及し、ベトナム国内の鉄鋼価格の持ち直しにつながっている。
中国では7月以降、熱延コイル(HRC)の価格が約12%、棒鋼が約3%上昇した。これを受けて、ベトナムの大手鉄鋼メーカーであるホアファット・グループ(HPG)、ホアセン・グループ(HSG)、ナムキム・スチール(NKG)などが相次いで販売価格を引き上げた。HPGは9月納入分のHRC価格を前月比17米ドル引き上げている。
ベトナム証券会社の分析によると、原料を安値で確保している鉄鋼メーカーにとって、販売価格の上昇は利益率の改善につながる。短期的には在庫積み増し需要を促し、販売活動を後押しする効果も見込まれる。
中期的には、中国の供給抑制政策の継続やインフラ需要の回復を背景に、鉄鋼市況の安定とベトナム企業の収益改善が期待される。
(IRUNIVERSE Risa)