日本鉄鋼連盟が発表する、ステンレス熱間圧延鋼材の生産・消費・在庫量推移及び、貿易統計によるステンレス鋼輸入量・輸出量推移を基に、ステンレス熱間圧延鋼材鋼生産、ステンレス鋼輸入及び輸出量推移を整理した。
単月のステンレス鋼生産量(熱間圧延鋼材)は約17万トン、ステンレス輸出量は約6万トンで推移する中、輸入量は2023年より再び増加し、2025暦年の輸入量は過去最多となる見通しとなった。
<2025暦年上半期のステンレス熱間圧延鋼材鋼生産、ステンレス鋼輸入及び輸出からみた2025暦年の見通し>
<ステンレス鋼熱間圧延鋼材生産量>
2025暦年上半期のステンレス鋼熱間圧延鋼材生産量は、101万5,316トンとなり、2024暦年上半期(100万7,620トン)比0.8 %増となった。 2025暦年換算では203万632トンと、2024暦年(204万6,025トン)比では0.8 %減となる。
2025暦年のステンレス熱間圧延鋼材の生産量は2024暦年並、若しくは下回る見通し。
<ステンレス鋼輸入量>
2025暦年上半期のステンレス鋼輸入量は、15万5,464トンと2024暦年上半期(14万7,906トン)比5.1 %増となった。 2025暦年換算では31万927トンとなり、過去最多となる。
2025暦年のステンレス輸入量は、2024暦年を上回り、過去最多となる見通し。
<ステンレス鋼輸出量>
2025暦年上半期の鋼輸出量は、35万3,609トンと2024暦年上半期(35万722トン)比では0.8 %増となったものの、2025暦年換算では、70万7,217トンとなり、2024暦年比1.3%減。
2025暦年の輸出量は、2024暦年を下回る見通しとなった。
<ステンレス熱間圧延鋼材生産量、ステンレス輸入量及輸出量>
図1にステンレス鋼熱間圧延鋼材生産・ステンレス鋼輸出及び輸入量 四半期推移を示す。
ステンレス熱間圧延鋼材の生産量は、2024年度第1四半期から500万トン台で推移。
ステンレス輸出量は、2024年第1四半期から18万トン台となったが、2024年度第3四半期及び2025年度第1四半期は、18万トンを下回る17万トン台となった。
一方輸入量は2024年度第1四半期では8万トンを超え、以降、第2四半期からは7万トン台を継続。

図1 ス テンレス鋼 生産(熱間圧延鋼材)・輸出・輸入量 四半期推移
図2に、ス テンレス鋼 生産(熱間圧延鋼材)・輸出・輸入量 暦年推移に 2025暦年上半期及び2025暦年換算を併せて示す。

図2 ス テンレス鋼 生産(熱間圧延鋼材)・輸出・輸入量 暦年推移
<ステンレス熱間圧延鋼材生産量>
2025暦年上半期のステンレス熱間圧延鋼材生産量は、101万5,316トンとなり、2024暦年上半期(100万7,620トン)比0.8 %増となった。月換算では、16.9万トンとなった。
2025暦年換算では203万632トンとなり2024暦年(204万6,025トン)比0.8 %減となり、2025暦年のステンレス熱間圧延鋼材の生産量は前暦年並、若しくは下回るの見通しとなった。
図3にステンレス鋼熱間圧延鋼材生産量鋼種別暦年推移を示す。2025暦年上半期及び2025暦年換算を併せて示す。
2025暦年上半期のステンレス鋼熱間圧延鋼材生産量鋼種内訳をみると、
Cr系生産量は2024暦年上半期(41万4,390トン)比2.6 %増の42万5,311トン、
Cr-Ni系(304系)は同(39万8,347トン)比2.3 %減の38 万9,346トン、
Cr-Ni-Mo系 は同(8万2,686トン)比9.1 %増 の9 万185トン、
その他系は同(11万2,197トン)比1.5 %減の11万474トンと、
前年同期比では、Cr系及びCr-Ni-Mo系が増加した。
2025暦年換算では、 Cr系が2.4 %増、及びCr-Ni-Mo系が7.8%増となり、2025暦年のこれらの生産量は、2024暦年を上回る見通しとなった。

図3 ステンレス鋼熱間圧延鋼材生産量 鋼種別暦年推移
参考情報:熱間圧延鋼材の生産・消費・在庫については、下記をご参照ください。
ステンレス鋼材国内市場近況2025 #30 2025年6月 熱間圧延鋼材生産・消費・在庫
https://www.iru-miru.com/article/77096
<ステンレス鋼輸入量>
2025年8月29日に鉄鋼連盟が発表した鉄鋼輸出入概況によれば、 2025年6 月(確定)のステンレス鋼輸入量は2万7,306 トンとなり、前年同月(2万3,575トン)比15.8 %増となった。
2024暦年のステンレス鋼輸入量は29万5,313トンと過去最多となった2022暦年(30万9,062トン)を下回るものの、2023暦年(23万9,354トン)比では23.4 %増となった。月換算では、約2.46万トン。
2024年度のステンレス鋼輸入量は30万5,702トンと2021年度(29万トン3,464トン)をも上回り、過去最多となった。月換算では、約2.55万トン。
図5に特殊鋼及びステンレス鋼の暦年輸入量推移を示す。
2025暦年四半期及び2025暦年換算を併せて示す。 2025暦年上半期のステンレス鋼輸入量は、15万5,464トンと2024暦年上半期(14万7,906トン)比5.1 %増となった。2025暦年換算は31万927トンと、過去最多となる。
2025暦年のステンレス輸入量は、2024暦年を上回り、過去最多となる見通しとなった。
特殊鋼の2025暦年上半期の輸入量は、25万4,416トンと前年同期(24万8,843トン)を上回ったものの、2025暦年換算では、2024暦年を下回った。

図5 特殊鋼及びステンレス鋼の暦年輸入量推移
図6に特殊鋼及びステンレス鋼の月別推移を示す。暦年、年度及び四半期は、月換算で示している。
特殊鋼の輸入量は減少傾向を示す一方、ステンレス鋼の輸入量は増加傾向にあり、2025暦年は、過去最多となる見込み。

図6 特殊鋼及びステンレス鋼の月別推移
図7に、主要3か国に月別輸入量推移を示す。
中国からの輸入量は2025年3月から月当たり1万トン超えを継続している。中国と韓国からの輸入量が、世界計の約73 %を占める。

図7 主要3か国に月別輸入量推移を示す。
<ステンレス鋼輸出量>
2025年6月のステンレス鋼輸出量は6万1,259トンとなり、前年同月(5万8,919トン)比4.0 %減となった。
2024暦年のステンレス鋼輸出量は、71万6,353トンとなり、2023暦年(68万7,942トン)比4.1 %増。月換算では、約6.0 万トン。
2024年度のステンレス鋼輸出量は、73万602トンとなり、2023年度(67万8,595トン)比7.7 %増。月換算では、約6.1万トン。
2025暦年上半期の鋼輸出量は、35万3,609トンとなり2024暦年上半期(35万722トン)比0.8 %増となったものの、2025暦年換算では、70万7,217トンとなり、2024暦年比1.3%減、2024暦年を下回る見通しとなった。
図8にステンレス鋼、主要5か国への輸出量推移を示す。
2025暦年上半期には、月平均で日本から中国へ、約7,000トン、韓国へ約7,300トンが輸出されている。2023暦年上半期から、約700~800トン減少している。

図8 ステンレス鋼、主要5か国への輸出量推移
(IRUNIVERSE tetsukoFY)