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10月の世界経済 下向きムード、米関税が需要に重荷 野村・高島氏 金はなお上昇か

2025/10/01 14:18
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10月の世界経済 下向きムード、米関税が需要に重荷 野村・高島氏 金はなお上昇か

 10月の世界経済は下向きのムードが続きそうだ。米国は10月14日から木材や家具などへの新たな関税措置を実施する。野村証券金融経済研究所経済調査部コモディティ調査の高島雄貴エコノミストは「米関税が重荷となり、需要に下押し圧力が強い」と話す。

■米、関税と利下げで効果にタイムラグ

 トランプ米大統領は9月29日、米国への輸入木材に10%、洗面台、キッチンキャビネット、布張りの木製製品に25%の関税を課す大統領令に署名した。関税交渉で合意している日本と欧州連合(EU)は税率の上限を15%に、英国は10%とする。米国は医薬品や大型トラックなどの輸入関税も引き上げる方針だ。

 

プレスリリース(ホワイトハウス:)Fact Sheet: President Donald J. Trump Addresses the Threat to National Security from Imports of Timber, Lumber, and Their Derivative Products – The White House

プレスリリース(同):Adjusting Imports of Timber, Lumber, and their Derivative Products into the United States – The White House

 

 高島氏は「関税はどうしても景気の下押し圧力になる」と指摘。米連邦準備制度理事会(FRB)は9月17日に政策金利を引き下げ米景気を下支えする方針を示したが、高島氏は「金融政策が実体経済に効果を及ぼすには時間がかかる」とし、10月の世界経済の下押し圧力は強いとの見方を示した。

 

■中国景況感は低迷、世界需要鈍く

 世界の製品需要も弱含む。中国国家統計局が9月30日に発表した9月の製造業景況感指数(PMI)は49.8と、7月の49.4からは回復したものの、6カ月連続で好不況の境目である50を下回った。6カ月連続の40台は2019年5月-10月以来6年ぶりだ。

 不動産市況の改善が見込めない中、中国景気は回復しきれずにいる。「世界の工場」の中国製造業の不振が続けば世界の製造業にも下押し圧力が続く。高島氏は「製造業が良くなる兆しがなく、銅や鉄鋼などの需要が戻る感触はない」と述べた。

 

中国のPMIの推移

(出所:中国国家統計局)

 

■供給不安が金属価格を下支え

 ただ、金属価格は単純な需要減とはまた異なる動きを見せる。銅価格は9月30日にロンドン金属取引所(LME)での取引価格が$1万300/tonを付けた。一時は$1万/を割り込む場面があったが足元は堅調さが目立つ。関税前の駆け込み輸送の影響でLMEとNYで価格に差が生じる場面もあったが、最近はおおむね同調した動きで落ち着いている。

 

過去1年間のLMEとNYの銅価格の推移($/ton)($/lb)

 

 これについて高島氏は関税問題のほかに、「鉱山の老朽化を含めた供給面での不安が金属価格を下支えしている」と指摘する。供給不安については「特に一部のレアメタルに顕著だ」とも話し、アンチモンやタングステンの高騰にも話を広げていた。

 

 さらに強気なのが金だ。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金価格は9月30日に$3873.2と過去最高値を更新した。年初からの上昇率は5割に迫る。高島氏は「中国やカナダ、アゼルバイジャンなど各国の中央銀行が安全資産的位置づけとして金を買い増す傾向が顕著になっている」と指摘。一部の金融機関が2026年の$5000/toz乗せを予想していることに触れ、「短期にそこまでいくとは考えづらいが、価格の上昇余地はなおあると見ている」と話した。

 

過去1年間のNY金価格の推移($/toz)

 

■米利下げで円高トレンドに

 米利下げで投資資金は米国や米ドルから流出する流れになり、相対的に円高が進む理屈となる。9月の米利下げ後のドル円相場は1ドル=150円を挟む値動き。高島氏も「1方向性としてはドル安円高になる」と話した。

 

過去1年間のドル円相場の推移($/JPY)

 

(IR Universe Kure)

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