
日本チタン学会・日本チタン協会産学連携委員会共同主催行事として第5回日本チタン学会 講演大会(2025年度)が、2025年10月9日(木)9:00から17:15まで、新潟県上越市、直江津学びの交流館で開催された。10月10日(金)の12:05に終了となる。今回の参加予定者は57名。初日の9日には、1件の招待講演、2名の功労賞授賞式、12件の学生によるポスター発表、及び、10件の一般講演と充実した内容となった。
なお、詳細につきましては、日本チタン協会の機関誌「チタン」及びチタン学会誌に掲載されるが、
アイアールユニバースは、報道として取材を許されましたので、大会の様子をMIRUの読者の皆様へもお知らせさせていただきます。
チタン合金は“産”としては、日本製鉄、神戸製鋼、大同特殊鋼等が、チタン合金を製造していることもあり、身近に感じていただきたい合金である。
実際、今回の功労賞受賞者は、大同特殊鋼と神戸製鋼所である。
プログラムは下記にて公開されている。
第5回日本チタン学会 講演大会(2025年度) プログラム / 日本チタン学会
チタン学会の石本先生(現在富山大学)の進行により、チタン学会会長、新家(にいのみ)光男先生が開会の挨拶をされた。対面での開催は昨年の東北大学に次いで、2回目となる。

開会の挨拶 チタン学会会長 新家光男先生
参加者、運営を担当した富山大学の関係者を含め、開催の準備をされた皆様へ感謝の意を示すとともに、現在100名は超えてはいるものの、正会員数の増加を望まれた。
また、残念ながら日本製鉄株式会社東日本製鉄所直江津地区の見学会は今回は断念せざるを得なかったが、是非、次回はお願いしたいとした。

講演大会 会場風景
第4回日本チタン学会講演大会は、10月31日(木)及び11月1日(金)の2日間にわたり東北大学で開催された。
10月31日は、東北大学の次世代放射光施設ナノテラスの見学と、情報交換会、11月1日は東北大学の金属材料研究所で口頭発表とポスター発表が成された。
コロナ禍後の初の対面での開催だった。
開催講演大会には71名(維持会員枠8名含め正会員40名、学生29名、非会員2名)が参加。基調講演2件、一般講演10件、ポスター発表が12件であった。最優秀ポスター賞は、東京科学大学2名、大阪大学1名が受賞されている。
今回の第5回日本チタン学会講演大会は、昨年と同様2回目の対面での開催となった。
残念ながら、前日10月8日(水)に予定されていた、日本製鉄株式会社東日本製鉄所直江津地区の見学会は、9月3日に上越市で発生した集中豪雨の影響により工場が冠水し、復旧に1か月以上を要する見通しとなったため、中止となり、第5回は、10月9日(木)9:00から10月10日(金)12:05までの2日間にわたり新潟県上越市、直江津学びの交流館での開催となった。 講演大会、参加予定者57名。
2日間で、基調講演2件、一般講演15件、ポスター発表12件となった。
一般講演による発表は両日で15件、内訳は、
組織制御:5件、機能発現・制御:3件、計測・観察技術:3件、加工技術:1件、合金開発:2件、及び表面処理:1件と多岐に渡る。
特に、、レーザー(L)又は電子(E)粉末床溶融結合(PBF)法に関係するAM(Additive Manufacturing:アディティブ・マニュファクチャリング)関連の発表は6件に及んだ。
AMについては、別途、中野先生のAM学会があるので、別記事にて、ご紹介する。
ここでは、ポスター発表の様子をご紹介する。
東北大学、東京科学大学、関西大学、富山大学・東京大学及び大阪大学の学生が発表した。
各学生は、13:00から14:45まで、昼休みを含めると約2時間以上にわたって、参加者(審査員となる。)へ説明を続けた。

ポスターの前で説明する学生と説明を受ける審査員(参加者)

ポスター発表の風景2
筆者は、報道のため、審査はしないが、
「積層造形用Ti粉末におけるAl量の変化と流動性の関係」、「Ti-Co-Al系合金の超弾性特性に及ぼすCo添加量の影響」、「Ti64合金における鉄・酸素の混入による高温特性への影響」、「SEM-DIC法によるTi-Nb-Al形状記憶合金におけるマルテンサイト逆変態の歪解析」について、説明をしていただいた。
「β-Ti合金単結晶における応力誘起マルテンサイト変態の放射光in-situ XRD測定」では、先輩が大変な思いで、作り上げた単結晶を使って、それを引き継いだ学生が、成果を出していた。
ポスター発表は、すべてのデータが出そろっている分けでもない状態での発表となることが多い。それをどのように、説得するかが、課題のようだ。
明日、最優秀ポスター賞が決まる。
なお、チタンの歴史については、下記記事において、岡部教授が事前に配布してくださった資料を基に、 簡単に紹介しているので、ご興味があれば、ご参照ください。
[詳しくは、日本チタン協会のチタン Vol.72 No.1(令和6年1月29日発行)の研究報告:チタン製錬とリサイクルの最近の進展(竹田修、大内隆成、岡部徹著)に詳細に記載されている。]
金属チタンの製造方法の歴史は1791年に英国の聖職者R.W.Gregorが海岸の砂浜から採取した砂鉄中に鉄以外の元素の酸化物を発見し、Manaccaniteと命名したことから始まるという。
日本におけるチタンの生産は、W.J.クロールがMg還元法による工業化の成功を収めて6年度の1952年に、旧住金系列の大阪チタニウム製造(株)(当時)にてスポンジチタンの試験生産が開始された。
日本で量産が開始されたのは1954年。 1968年に旧住金の直江津製造所にてチタン冷間圧延材の生産が開始されている。
今回見学できなかったのが、残念であるが、早く復旧され、次回は是非、見学させていただきたい。
(IRUNIVERSE tetsukoFY)